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理系の料理第1章 1節目「塩・胡椒:適量」ってどういうこと?の部分の全文テキストを公開します。
「[はじめに](https://goryugo.com/20150825/rikei_ryouri/)」と合わせて、書籍はだいたい全体的にこんな感じのものなんだな、ってイメージをつかんでいただけるんではないかと思います。
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## 「塩・胡椒:適量」ってどういうこと?
料理を始めたばかりの頃、私がもっとも悩んだのは、こんな感じの「客観的なパラメーター」が書かれていないレシピ達でした。
・塩、胡椒を適量 ・お好みでトウガラシを入れる
料理が「わからない」ころは、「これがわからないからレシピを見てるんだけど」なんてことを何度も思いました。「適量」なんて書かれたものを「レシピ」と呼んでいいのか、と、本当に心の底から疑問で仕方ありませんでした。
当時の私に当然適量なんてものがわかるはずがなく、しょうがないから塩を1g入れてみる。で、実際にやってみても、1g入れて果たして味が変わったのかどうかを計測する手段がない。
もちろん、塩1g程度で味が変わったかどうかは、私のような素人の味見程度では「違い」がわかるようなものではありません。
1gでの変化がわからないなら、次は「塩小さじ1くらい?」
今度は小さじ1では量が多すぎ、塩辛くて食べられたものではない味付けになってしまったり…こういった「適量」がわからない失敗を10回くらい繰り返した頃でしょうか。はじめて「適量」という言葉が私の中で納得できる言葉になりました。
実はこの「適量」って、本質的には自分も無意識に「できてた」ことなんです。
例えば、トンカツを食べるときにかけるソース。あるいは、卵かけご飯にかける醤油。これらに関して「どのくらいの分量かけてる?」って聞かれても、「なんとなく」としか答えられない自分がいました(そう、感覚派の妻がよく口にしたフレーズです)。
そして、レシピに書かれてる「塩・胡椒:適量」という表現も、実はこれと「一緒」のことだったんです。
違いは「食べる直前にかけるかどうか」という点と「かけた分量が目で見て分かりやすいかどうか」という点だけ。「料理ができる人」にとっては、「塩・胡椒:適量」という表現は「トンカツソースは自分でかけてね(味付けの濃い・薄いは好みが分かれるだろうから)」というのと本質的には「同じ意味」のことみたいなんです。塩・胡椒で味の濃い・薄いを調整できるから、「自分の好み」に調整してね、と。
## 知識から「感覚」を身につけていく
「卵かけ御飯に醤油をかける」というのは「私でも感覚的にわかること」です。私には料理の感覚、みたいなものは全然ないかと思っていたんですが、実はこれだってレベルは低くても立派な「料理のセンス」。
「塩・胡椒:適量」という私の中で全く理解できない用語も「最後に塩・胡椒を入れるだけである程度味の濃い・薄いの調整ができる」と「翻訳」してやれば、実は「卵かけ御飯に醤油をかける」と同じことだということがわかるようになりました。
そしてそれがわかれば、適量という分量についても「このくらいなのかな」と少しだけ「感覚」で考えることもできるんじゃないのか、と思えるようにもなってきました。
料理を覚えていく最初の段階で重要なのは、こういう「自分が知ってる感覚」と「料理の感覚」を繋げていくことなのではないかと思います。そして、その感覚を繋げるときに大きな助けになってくれるのが「最後の塩・胡椒は濃い・薄いの調整だ」という本質的な料理知識をいくつか覚えること。
## 料理の感覚を身につけるには計測が欠かせない
こういう感覚を身につけるときに大いに役に立つのが「パラメーター」を意識してやることです。料理を作る際に「1グラム」なんていう単位だったり「強火で1分間焼く」などの客観的な「数字」を意識して料理を作ってみるんです。
例えばレシピに「塩・胡椒:適量」と書かれていて、それぞれ5グラム入れてみたら味が濃すぎた――なんてことがわかれば、次回はそれよりも少なめにすれば「適量」に一歩近づくことができ、少し「料理の感覚」が上達します。また、塩5グラムを一度自分で量ってみることで「5グラムは見た目でこのくらいの量」とわかり、「分量を目測で測る」という「料理の感覚」を身につけられます。
私の妻には「めんどくさいこと」でしょうが、私のような「料理の感覚がない人間」にとっては、こうやって「計測できるものはきちんと計測する」という行為が、遠回りに見えて一番早く料理の感覚をつかめる手段だったのです。
## まとめ
1. 「塩・胡椒:適量」は、「トンカツソースはお好みでどうぞ」というのと本質的には「同じ意味」だった
2. 料理を覚えていく最初の段階で重要なのは、「自分が知ってる感覚」と「料理の感覚」を繋げていくこと
3. 料理の感覚を身につけていくときには、客観的な「数字」を意識して料理を作ってみるのが近道
「はじめに」はこちらから → [4年前のすごいメシマズな写真が出てきたのでちょっとご紹介します ごりゅご.com](https://goryugo.com/20150825/rikei_ryouri/)
編集者へのインタビュー → [オレが書いた料理の本の魅力を編集者に語ってもらった ごりゅご.com](https://goryugo.com/20150828/editor_kizu/)
目次はこちら → [理系の料理 Amazon&全国書店で入手可能になりました ごりゅご.com](https://goryugo.com/20150901/rikeinoryouri_mokuji/)
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