著者倉下氏より献本御礼。
倉下忠憲氏3冊目の著書「Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング」読了。今回は「セルフブランディング」についての話。
ソーシャルメディアの時代で重要になってくるのは「組織」では無く「個人」
そんな時代だからこその「セルフブランディング」の重要性と、その技術、考え方について。
ブランドと知名度は違う
マスメディアとソーシャルメディアの大きな違いは情報の伝わり方。
ソーシャルメディアでは情報は「人」から伝わり、そしてそれを言い換えれば一人一人が「メディア」
どういう情報を出している「人」なのか、という事が、そのままその人自身の「属性」であり「価値」になる。そこには「肩書き」は大きな意味を持たない。
言い換えれば、肩書きが無くても「ブランド」は作り上げられるし、肩書きだけでは「ブランド」にはならない。
つまり、ブランドと知名度というのはイコールではない。
ブランドは他の人の心に影響を与えるものだ、という点です。
(中略)
こういった企業名を聞くと、その企業が販売している商品だけではなく、雰囲気や方向性、あるいは価値観といったものが想起されます。
逆にニュースなどでよく耳にするだけの企業名からは、こういったイメージは立ち上がってきません。これが「ブランド」と「知名度」の違いです。
P46 「ブランド」=想起されるイメージ
これは、非常に強く印象に残った。
「ブランド作り」をする事は、知名度を上げる事とは違うという事。旧来の「マスメディア的方法」では、ブランドを作り上げていくのは中々難しいという事でもある。
「ブランド」が持つ力
「Apple信者」なんて言葉がある。比較的自分も「Apple信者」だと思う。この「信者」を生み出すほどの「ブランド」の力の凄まじさを先日改めて思い知った。
2011年6月6日にアメリカで行われたAppleの祭典「WWDC」
日本時間で深夜2時とか3時とか、通常そんな時間の中継を生で見るなんて事は「あり得ない」はずなのに、少なくとも自分の身の回りでは異様な盛り上がりで、多くの人間が眠い目をこすりながら、翌日に差し支える事を承知で「生」でそれを見ていた。
翌朝ニュースの結果を確認する方が「効率」はずっといいはずなのに、それでもリアルタイムで体験したいという日本人が多数いる。
ていうか私もリアルタイムで見ていた。
そんな状況を作り上げる「ブランド」の力。製品やサービスの「中身」だけではなく、それをどのように見せるのか。そこがブランド作りには非常に重要な事だと思い知らされる。
とは言えこれは、すでに「ブランド」があるからこそ。
では、個人はどうやって「ブランド」を作っていったらいいのか、その考え方や「技術」が本書のテーマ。
セルフブランディングの本拠地はブログ
この本のタイトルは「TwitterとFacebook」でセルフブランディング、となっているが、多分これ「マーケティング」な事情。
本書でも「ホームベースはブログ」と書いてあるし、自分もそうだと思う。
「ブログ」を持った上で、TwitterやFacebookをどうやって「セルフブランディング」に活用していくのか、というのがセルフブランディングの王道なんだと思う。
何をしてきて、今何をして、これから何をしたいのか
で、どうやって「ブランディング」していくか考えたときに基本となるのが、以下の3つを伝えていく事。
「過去」「現在」「未来」
過去に何をしてきたか。今何をしているのか。これから何をしていきたいのか。これを表現していく。
なによりも継続
そして、「セルフブランディング」でもっとも重要なのは、継続。
ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉であるにもあるように「うまくいっている」人たちは必ず継続している。やめずに続けている。
短期的な成果を求めていては「ブランド」を作るのは難しいし、継続する事こそが「ブランド」に繋がっていく。
一番アツイのがエピローグ
で、一番面白かったのが、エピローグ。意外に長いエピローグw
著者本人の体験談を踏まえた「世界の変化」
そして、それがどんなに面白いのかという話。
私も、ブログ書いてて本当に「世界が変わった」し、生活が変わった。めっちゃ面白い人生になってきたと心の底から思っている。
私の場合であれば、自分のやりたいことをやりたいようにやってきたことが、結果的にブランドになりました。(中略)しかし、まったく他の人に読まれないブログでは他の人との結びつきを生み出すことは難しいでしょう。
p229.エピローグ 「世界」が変わった感覚
この「結びつきを生み出すきっかけ」を作るのが、セルフブランディングの技術なんだと思う。「セルフブランディングをする」という事はセルフブランディングの本質ではない。その事は肝に銘じておかなければならないな、と思った。
最後に、もっとも印象に残った一説を。
「人の価値」というのは他の人が見い出すものです。どれほど優れた技能を持っていても他の人がそれを評価しなければ価値は生まれません。逆に自分ではたいしたことがないと思っていることでも、他の人から評価されればそれは価値になります。
p228.エピローグ 「世界」が変わった感覚
だからこそ、今は「何でも発信する」というのが、私のブログのスタンスだったりする。ブランドが出来るのは「結果」だと思うから。
参考
3年続けろ!【書評】ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である