ちょいと昔の本ですが、過去の本をあさってたら出てきて、これちょー面白かったのにブログに書いたりしてなかったので改めて紹介。
経済学とかだと人間は「合理的」な行動をする生物として扱われるんだけど、そもそも人間は全然合理的じゃないんだぜ、ってのを実例を交えながら紹介してくれる本。
ちょっと前に書いた下記の記事は、この「合理的ではない」仕組みをうまく活用したものと言えるのかもしれない。
習慣を作る最大の秘訣は失敗する事 三日坊主撃退セミナー@名古屋
人は合理的に行動出来ない
こんな質問がある。
今日は土曜日で、大好きなオペラがある。
あなたはうきうきと劇場に出かける。入り口に近づいたとき、二万円もしたチケットをなくしてしまったことに気がつく。
さてどうしますか?チケットを買い直しますか?
P20.頭はこう計算する
そして、もう一つ。
問1と同じ設定で、今あなたは劇場の入り口にいる。けれども今度はチケットをなくしてしまったのではない。チケットは買ってないのに、上着のポケットにあったはずの二万円が見あたらないのだ。
さてどうしますか?チケットを買い直しますか?
P21.頭はこう計算する
どっちも、2万円損してちょー痛いぜ、って状況。「合理的」に考えるならば、どちらの状況でも同じ結論が出るはず。
しかし、実際には、上のパターンだと「買わない」人が多く、下のパターンだと「買う」という人が多くなるらしい。
人間は、ついついこういう「非合理な」判断を下してしまう事が多いとのこと。そして、なぜこのような事が起きるのかについても触れられている。
3つあると真ん中を選ぶ人が増える
他にも例えば 38,000円のデジカメと、76,000円のデジカメが存在した場合には、それぞれ50%の割合で商品を選ぶのに、そこに「上位モデル」である128,000円のものが現れると、多くが「真ん中」のモデルを選んで、一番安いモデルを選ぶ人は5人に1人に減ってしまう。
例えばiPad。
これ、16GB,32GB,64GBの3つのモデルが存在しているのだが、iPadを買った人はきちんと「合理的」に自分が欲しいモデルを選択出来ているだろうか?様々な葛藤を経て、なぜか「真ん中」を選んだりしていないだろうか。
知っていれば違う
まぁ別に、そんな事はどうでも好いと言えばそうなのかもしれない。
しかし、「自分が」真ん中を選んでいるつもりなのに「自分が判断して」真ん中を選んでいるつもりなのに、実はそれはいつのまにか「選ばされている」事なのかもしれない。
そういった事を「知っている」だけでもより「正しい」「合理的」な選択がしやすくなるのではないだろうか。
全部紹介したい
本書は、こういった「なんか非合理な選択をしてしまう」という例を、先ほどのようなQ&A形式でこれでもかと取り上げてくれている。
どのエピソードにもきちんと「なぜそんなことをしてしまうのか」な説明もなされており、読み物としても非常に面白い。
そして、これらの「非合理な判断」をしてしまう根拠を知る事で、リアルに自分の生活の中での「損」を回避する知識も得られる。
どれも非常に面白く、全部紹介したいのだが、それだと丸々本のコピーになってしまうし、あまりにも「合理的でない」行動なので選択しない。
とりあえず、この本を過去に読んでいた私は、iPadは16GBのモデルを選択した。「真ん中を選びがちになる」という知識が、32GBモデルを選択させなかった可能性も否定出来ないが。。。