前回新型ScanSnap iX500とS1500(現行機)の読み取り速度の比較動画を掲載しましたが、それからしばらくじっくりと自炊やらなんやらを試してみました。
30~40冊くらいiX500で自炊してみたので、現段階でのレビューや感想と、iX500の新機能についてまとめてみようと思います。
iX500の新機能
S1500からiX500になって変わったのは、主に以下の点。
- 読み取り速度アップ!
- 「ブレーキローラー」による給紙の安定感アップ
- 見た目が黒一色に
- OCRがめちゃくちゃ早くなった
- 無線接続でスマフォにデータを直接送信
- Windowsモデル、Macモデルという区別無し
- Mac版のAcrobatが付属しなくなった
- USB3.0対応
- プラスチックのカードとかも読める
あとは、外見に関わるちょっとしたところで言うと
少しだけ新型の方が背が高くなったり
付属のACアダプタのサイズが小さくなったり
A4クラスのデカい紙をスキャンする時の「押さえ」の部分がが大きくなって紙が安定しやすかったり
あとは、個人的にはMacしか使ってないから触れられないけど、付属のソフトウェアも新しくなったみたいです。
(って言っても、別にフツーにファイルの管理はOS標準機能で別に十分だと思ってる)
読み取り速度の向上は素晴らしい
まず何よりもこのiX500の良いところは「スキャンが早くなった」ということ。
メーカー公称値で
S1500 20枚/分
iX500 25枚/分
となっているので、なんか数字だけ見てもあんまり早くなった気がしないかもしれないけど、実際に見比べてみるとこれが結構違う。
参考動画
ブレーキローラーが素晴らしい
そして、読み取り速度アップと同じかそれ以上に影響が大きいのが、2枚以上紙を巻き込んでしまう「重送」がほとんど起こらなくなったということ。
S1500でも「重走」が起こった場合には、ほぼ確実に「2枚読み込んだ!エラーだ!確認しろ!」っていうアラートが出てくれるので、あとで読んでみたら1ページ抜けてた、ってことはまず起こらない。ていうか自分自身そういったことは一度も体験していない。
でも、エラー、って教えてくれるのはいいんだけど、その度に前の紙に戻って、再度髪をセットしてスキャンを始める、ってのは結構メンドクサイ。
文庫本とか、雑誌のカラーページとかは割とこの「重送」が起こりやすくて、こいつがくせ者だった。
この割とメンドクサイ「重送」が、iX500ではまだ一度も起こっていない。
(新書と文庫は10冊程度スキャンした)
どうやらこれは、iX500から採用された「ブレーキローラー」の効果みたいなんだけど、こいつがとにかく優秀。
時々、紙をスキャンしてるとギシギシ音を立てるときがあるんだけど、多分この音が出てるときはS1500だったら「重送」になってしまうような時に出る音だと思う。
1冊だけ、大判ムック本のカラーページを読み込んでいるときに、全然うまく紙を吸い込んでくれなくて(ブレーキローラーがいらん仕事してる?)無理矢理手で紙を送ってやった、って場合があったんだけど、それ以外は今のところ完璧。
その後、再度同じ紙をS1500とiX500で読み込んでみたら問題なくスキャンできた。
ほぼ失敗せず、一発で紙をスキャンできるというのは、読み取り速度が上がったこと以上に実際の「スキャンにかかる時間」てのをかなり短縮してくれる。
あと、時間以外にも「もっかい紙をセットするのメンドクセー」みたいな気持ちにもならないので、精神的にもスキャンをすることの敷居が下がる。
高くなったけど安くなった
もう一つのポイントが「価格」
というか「ランニングコスト」
Amazonの価格を調べてみると、S1500は現在約3.5万円。それに対して新型のiX500は約4.7万円。
これだけ価格差があれば、多少スキャンが遅くても安い方がいいやん、ていう風にも思えそうです。
ただ、ScanSnapは残念ながら「買っておしまい」ではなく、定期的に消耗部品を交換してやらないといけません。
それが、紙を吸い込む「パッド」やら「ローラー」と呼ばれる部品。
S1500は、約2000円のパッドユニット(5万枚で交換)と約6000円の「ピックローラー」(10万枚で交換)
iX500は約7000円の「ローラーセット」(20万枚で交換)
万枚単位での交換ってなると、いったいいつのことやら、っていう感じもするのですが、本を数百冊以上自炊する場合には、これらも交換前提で考えてやらないといけません。
まぁ、今の価格差だと元が取れるようになるのは20万冊以上スキャンした場合、ってことにはなりますが、旧型と悩んでいる場合には、ここも考慮に入れておきたいところ。
Wi-Fiはすごく快適(ただしPCとの無線接続は未対応)
Wi-Fi転送のやり方とか設定に関しては別記事でまとめる予定ですが、この機能は想像以上に快適でした。
最初に発表の内容を聞いたときは「なんでiOSやAndroidに無線転送出来るのにPCは出来ないんだよ」って思って、大して使わないだろうなーって思ってたけど、一度試してからは無線転送ばっかり使ってます。
ScanSnapって、やっぱりどう考えても「デカい」んです。そして、私の環境ではこの「デカい」ScanSnapをパソコンの横に置いておくというのはなんだかんだ邪魔。
そして、邪魔だから普段は別の場所にしまってあります。
「よっしゃ自炊するぞ!」って時はまだしも、ちょっとした紙や、もらった名刺とかをスキャンするってなると、すごーくめんどくさくてついつい後回しにしてしまう。
(そういう理由で、小型軽量のS1100がすごく気に入ってました)
ただ、パソコンと繋がなくていいとなれば話は別。
家の中の邪魔にならない場所にiX500を置いといて、スキャンしたい紙とiPhoneがあればそれでスキャンが出来る。
ScanSnapのアプリから、直接他のアプリにデータを渡すことが出来るので、スキャンした名刺をそのままEvernoteやDropboxに保存してやったり、スキャンした本をすぐさまi文庫で読み始めたり「あれ、なんかパソコン使わない方がラクなんじゃない?」なんて思うようになってきました。
今現在は、S1100(電源不要の小型のやつ)をパソコンと繋ぐことすら面倒になってきて、ぜーんぶiX500に頼るようになってます。
PCへの無線転送は是非とも早く実現して欲しいという気持ちは変わりませんが、なんだかんだWi-Fi機能すごく便利です。
OCRはめっちゃ早いが精度はイマイチ
もうひとつ良さげな機能「並列OCR処理」
今までは、スキャンしたPDFに検索可能な文字列を付ける「OCR」は、スキャンが終わってから、その後OCR実施。しかもその間は次のスキャンが出来ない、という残念な仕様でしたが、それがパワーアップして「スキャンしながらOCR」ってのが出来るようになりました。
これ、圧倒的と言えるくらいにスピードが早くなり、スキャンが終わればほぼ同時にOCRも完了していてすごいです。
ただ、Wi-Fi接続の場合はOCR使えなかったり、なによりも肝心のOCRの精度がやはりAcrobatに比べて劣るので、結局使ってません。
そういう意味では、Mac版のAcrobatが付属しなくなった、というのはけっこう残念。めちゃくちゃ早いんだけど、大事なのは精度ですからねぇ。
ちなみに、この「並列処理」は「ソフトウェア」に依存しているみたいで、新しいScanSnap Managerを使えば、S1500でスキャンした場合にもOCRの並列処理は行われていました。
まとめ
新型iX500、文句なしにS1500よりも良くなっています。とにかくスキャンが早くなって、そして安定したのは圧倒的に素晴らしいし、Wi-Fiも確実に便利。
とは言え、現在の価格差を考えると、どっちをオススメするべきなのか、というのはちょっと悩ましいところ。
多分、そのうちパソコンとの無線接続は出来るようになると思うので、そうなれば「iX500の方が確実に良いぞ!」って言えると思います。
長い目で見れば、消耗部品の値段的にもiX500の方が「安い」んだけど、頭でわかってても、どうしても目の前の値段を無視できない、ってのもこれまた事実。(元を取る前に壊れるって可能性はあるし)
まぁそれでも、「そのうち元が取れる」ってことと「スキャンがすごく快適になった」ってことを考えたら、S1500より結構値段が高くても、それでもiX500を買った方が満足度は高いと思います。