REALFORCE for Mac 「PFU Limtied Edition」 テンキーレスモデル、という大変長い名前のキーボードの、サンプル品をお借りすることができました。
以前ブログで紹介した「Happy Hacking Keyboard」(HHKB)と並ぶ「2大高級キーボード」の1つである「REALFORCE」の数多あるモデルの1つのやつです。
REALFORCEの特徴
HHKBとREALFORCEの特徴を一個で言うと「すげえ高いけどすごい押し心地が良いキーボード」
そして、HHKBとREALFORCEの違いを一言で言うと「余計なキーを削ぎ落としまくったHHKB」に対し「矢印キーが横についてるREALFORCE」

また、REALFORCEには特に変態的な素晴らしい機能が2つあり、この機能はHHKBには存在していません。
キー押し込みの深さを設定できる
1つは「どの深さまでキーを押し込んだら押したと判定されるか」という判断をソフトウェアで変更できる機能。物凄いキー入力が早い人は文字通りキーボードを「撫でるように」入力するらしいんですが、それを実現するにはREALFORCEの「ちょっと押しただけで押したと判定される」機能が重要らしいです。(さらに、押し込みの深さを物理的に制限するスペーサーも付属している)
キーの押下圧を複数から選べる
そしてもう1つが、キー荷重(キーボードのキーを押し込む重さ)も様々な重さから自分好みのモデルを選べるというところ。(これは物理的特性なので購入時に選ぶ必要がある)
30g、45gという重さの他にも、変荷重という「人差し指で押すキーは重くて、小指で押すキーは軽い」というモデルなんかも存在してます。
そしてどのモデルも、色だったり「日本語キー」「英語キー」だったりいろんなバリエーションが存在します。
現行の「Mac用」REALFORCEだけでこれだけのモデル数。
製品 – Home & Office – Mac | REALFORCE | 日本製プレミアムキーボードの最高峰
Windows用はもっと多い。
製品 – Home & Office – Windows | REALFORCE | 日本製プレミアムキーボードの最高峰
そんないろんなバリエーションがあるREALFORCEなんですが、Mac用モデルはWindows用よりもバリエーションが少なく、選べるモデルに制限がありました。(そもそも、Macモデル自体が登場までにかなり時間差があった)
そんな環境の中。PFU限定モデル、という名前で(HHKBと同じ)45gの押下圧のテンキーレスモデル、というのが登場しました。
すごい長い前置きなんですが、この記事はHHKBと同じ押下圧45gの、テンキー無しモデルを使ってみた感想です。
HHKBとほぼ同じなんだけど意外と違う打鍵感
HappyHackingKeyboard(HHKB)のキーボードの「スイッチ部分」は、REALFORCEと「同じ」です。(東プレ製)
なので、キーの押下圧が「同じ重さ」であるならば押し心地も「同じ」はずなんですが、触ってみると意外に感触が違います。
どっちも他のキーボードに比べると「圧倒的に素晴らしい」と感じるんですが、キーの押し心地は(どっちがいいかは好みだと思うけど)意外に違います。
オノマトペと比喩で無理矢理表現する押し心地と音の違い
言語で感触の違いを表現するのは難しいけど、HHKBの方がちょっと「コツコツ感」が強めで、REALFORCEの方が「スコスコ、シュコシュコ」した感じがします。実際にキーの押下圧が同じでも、押した感じもちょっと違って、あえていうとHHKBの方が「跳ね返りが強い」イメージ。
すごい無理矢理な表現をすると、映画やアニメでキーボードをカチャカチャする音のイメージに近いのが「HHKB」で、もう少し物静かに地を這うようにキーボードを押したくなる感じのキーボードがREALFORCE。
ちなみに、自分の手元には「ブラックモデル」のREALFORCE(Windows用)があるんですが、このモデルのキーの押し心地はMac用と「同じ」だと感じます。
これに関しては、HHKBを「ホワイトモデル」から「ブラックモデル」に変えると(キートップの素材が変わったことで?)キーの押し心地も変わるので、それと同じような「違い」だと思います。
音量で言うと少しREALFORCEの方が静かかな?って感じがして、HHKBの方が「ボタン押してる感」が強めかも。
ファンクション切り替えは大変良い
REALFORCEのMac版にしかない便利機能が「ファンクションキーの切り替えボタン」

元々MacはFuncitionキーというやつは標準でディスプレイの明るさを変えたり、音楽の再生停止、ボリューム上げ下げなどに使えるボタンとして存在して(設定で変えられるけど)普通のFunctionボタンを使いたい場合はFnを押しながら押す、みたいなことをやる必要がありました。
普段は音量上げ下げ、明るさ上げ下げに使いたいけど、でもゲームとかする場合ファンクションボタンめっちゃ使う、みたいな私のような人がいるならば、この機能は大変重宝します。
他にも、専用ソフトをインストールするとキー押し込みの深さの反応をキー1つ1つで変えたり、一部キーをあえて押せないようにする(これも主にゲームとかに向いてる?)などいろいろ細かい設定も可能です。
カーソルキーが欲しいからREALFORCEな人(昔の俺)には「意外とカーソルなしでいけるぞ」と伝えたい
基本的にMac使ってて英語配列の高級キーボードが欲しくて、でもカーソルキーが欲しいという人にとっては実質選択肢はこれしかない、というイメージです。
ただ(かつての自分がそうだったんですが)カーソルキー、なくても意外といけます。ていうかなくても問題ないです。
自分も「Mac使ってて高級キーボードが欲しくて、でもカーソルキーが欲しい」人間で、Mac版が出る前からWindows版のREALFORCEをMacで使ってたんですが、HHKB Hybrid Type-S使ったら実はカーソルキーなんていらなかったんや、ということに気がついた派閥になりました。
Happy Hacking Keyboard 本家本元のこれこそが自分が理想とするキーボードだったとようやくわかった #HHKB – ごりゅご.comより引用。
自分の場合、範囲選択は「Shiftキー+カーソルキー」でずっとやってきたので、カーソルキーがないHHKBでこれ一体全体どうやってやるねん、て思ってました。
このことについては製品発表会と同じ日に開催されたHHKBのユーザーミートアップでいろんな人に話を聞いてみたんですが、大体の人が「小指でFnキーを押して人差し指中指で操作」すれば全然問題ないって言うんですよね。
さらに、範囲選択する時は「小指Fn&薬指Shift」を押した状態で人差し指と中指でカーソルキー操作すればいいと。
キーの荷重が30gがいいとか押し込みの深さ設定したい、とかそういうのがあるのならばREALFORCEの方が幸せになれますが、自分の場合それよりもキーボードの横幅が小さいことによる「マウス、トラックパッドが近い」ことのメリットの方が大きかったです。
REALFORCEの残念なところ
そして何よりも、変化を繰り返しているHHKBと比べてREALFORCEが残念なところがパソコンとの接続方法が「USB-TYPE Aのケーブルのみ」ということ。

現行の全モデルのREALFORCEがUSB-Aでの有線接続なので、ある意味これはREALFORCEを選ぶならばUSBーAで繋ぐしか無い、という感じなんですが、for Macという名前がついてるのにiMacかMac miniにしか繋げないというのは正直どうなのかな、と。
MacBookシリーズと接続するためには有線でアダプタ噛ませないといけないのはちょっといろいろ辛い。(HHKBはUSB TYPE-CかBluetooth)
また、for Macという名前がついてるのはいいんだけど、デザインの面で割と気になる点も。
1つが「初代Magic Keyboardっぽい」カラー、加工であること。
(下が「2代目のMagic Keyboard」で、上がREALFORCE)

写真で上手に伝えるのは大変難しいんですが、REALFORCEの方がシルバーの塗装面の凹凸が大きく、これがすごい「1世代前の電池式の頃のMagic Keyboardっぽい」雰囲気を醸し出しています。
もちろんこれは広い意味でMacっぽいデザインなのかもしれないけど、自分はどうしても「昔のMac」という印象を受けます。
そしてもう1個、これもどうでもいいことなんだけど、キーのフォントも今のMacっぽくない。
特に違いがわかりやすいのがアルファベットの「M」で、Macのフォントは全部「線の端が尖ってて、Mの下に降りる線は真っ直ぐ&ラインがかなり細い。(シュッとしてて細い)

対してREALFORCEは、太めフォントで線の端が丸く、Mの下側が開いている。(フワッとしてて丸く、結構太い)

そんなもんどうでもいいやんという気持ちが存在する一方で、でも公式ページでは以下のように書かれています。
「Macに馴染むシンプルなキートップフォント」
キートップの印字には、Macに合わせてシンプルなフォントを採用。
これを読んでしまうと、どうしてもなんか違うよねーって思わずにはいられませんでした。
追記:おそらく過去のMacと同じフォントを使っている、と教えていただきました。ただ、キートップの素材の違いなのか、刻印箇所のバランスなのかなんなのか、どうしてもじっくり眺めると違和感を感じてしまいます。
恐らくフォントは「VAG Rounded」で、2015年に今の書体になる前まで実際にMacで使われてたフォントじゃないかな 。 👉 Real Force for mac PFU Edition 良かったところと残念なところやHHKBとの違いなど – ごりゅご.com https://t.co/hQ86g147UV pic.twitter.com/3202O3QQV3
— トブ (@tobu0) May 21, 2020
(さらに詳しく手元のキーなどを眺めて見てみたら、SHIFTキーの文字のラインが他のキーより少し太かったりとかもあったりして、個体差による滲み?なのか、これもちょっと気になったりとか)
見た目的な話は、正直30分触ってれば全然気にならくなるのは間違い無いんだけど、どうしても第一印象が「なんか違う、なんか古い」って感じがしてしまって、いろいろ理由を探してみたら違和感の原因はこれだった、っていう程度ではあります。
Mac対応してくれるなら、変にデザインをMac向けにいじるよりただ普通に配列変えてくれるだけの方が嬉しかったなあ、って思いが消えません。Windows用のREALFORCEはすげえカッコイイと思います。
ただ、iMacかMac miniを使っていて、良いキーボードが欲しい方にオススメなのは間違い無いです。