Obsidianのタグ:増やすほど散らかるので分類はリンクとプロパティに逃がす
Obsidianのタグは増やすほど探しにくくなる。分類はリンクとトピックノートへ、静的な属性はプロパティへ渡し、タグはログと状態管理だけに残す。役割を分けて散らからないタグ運用にたどり着くまでの考え方をまとめました。
Obsidianのタグ
Obsidianをしばらく使っていると、タグの一覧がやけに長くなっていることに気づきます。PCとパソコンが別々に並び、いつ作ったのか忘れたメモが何のためのタグだったのか思い出せない。付け忘れたノートは検索に出てこず、同じ意味のタグをうっかり二つ作る。整理のために増やしたはずのタグが、いつのまにか探す邪魔になっている。
タグの使い方を調べると、たいていは足し算の話が返ってきます。こういうタグを作ると便利、この場面ではこう付ける、と使い道が一つずつ増えていく。けれど増やすほど散らかるものを、さらに増やして直そうとするのは筋が悪い。ここで考えたいのは逆の向きです。タグに何をさせないかを先に決めて、分類の仕事はタグから引き上げてしまう。
引き上げた先は三つ。ノート同士のつながりはリンクとトピックノートへ、移り変わる進み具合だけタグにわずかに残し、動かない属性はプロパティへ。タグを我慢して減らすというより、それぞれの仕事を本来向いている道具に返すだけの話です。どこに何を返すのか、順にたどります。
タグは増えるほど破綻する
フォルダとタグでの整理は、ノートが少ないうちは直感的でよく分かります。数ヶ月から数年で使い切る情報なら、これで十分。問題は量が増えて、使う期間がさらに延びてからだ。
フォルダは物理的な置き場、タグはその置き場に貼るラベルの延長で、どちらも一つの情報を一つの場所に押し込む発想から抜け出せません。ところが現実の情報は、いくつもの場面にまたがる。一つの読書メモが、仕事のヒントであり、趣味の記録であり、誰かに話したい雑学でもある。単一の階層や数個のカテゴリでは、その多面性を表しきれない。
タグの数そのものも、あるところから手に負えなくなる。10個くらいなら頭に入ります。100個を超えたら、もう何を作ったか覚えていられません。日本語は漢字もカタカナも外来語も混ざるので表記が揺れやすく、PCとパソコンのように同じ意味の別タグが静かに増える。しかもタグは、一度作ると後からまとめて付け替えるのが難しい。散らかってからでは、立て直すのに手間がかかる。
「この情報、どのフォルダに入れたっけ」。こう迷い始めたら、整理のやり方そのものを見直す合図です。
10年20年と使い続けるノートを、置き場とラベルだけでさばこうとすると、いずれ入れ場所に迷い、探せなくなり、ただのゴミ置き場になる。完璧な分類を組んでも、時間が経てば自分が変わり、当初の分類は意味をなさなくなります。
分類はリンクとトピックノートに逃がす
ではノート同士のつながりを、何に任せるか。リンクです。
タグは「同じラベルが付いたものの集まり」しか示せません。そのノートとこのノートを、なぜ並べたのか。理由はタグのどこにも残らない。リンクなら、貼った周りに「なぜこの二つを繋いだか」を自分の言葉で書き込めます。繋ぎ目に理由が残るので、後から読み返しても集まりの意味が分かる。トピックノートでも同じで、集めたノート一つひとつに短い注釈を添えれば、「これはこの場面で大事」という解釈ごと持てる。なぜ集めたかが、集まりと一緒に手元に残るわけです。
コツは、分類を先に作らないこと。
フォルダやトピックノートを最初に用意して情報を放り込むと、まだ育っていない考えを箱の形に縛り、後から見つかるはずだった意外なつながりを消してしまう。先にやるのは、新しいノートを既存のノートへ繋ぐことだけ。特定のテーマでノートが密集してきた段階で、初めて目次やトピックノートを作る。手順は「分類してから書く」ではなく、書いてから整理する。後から作った分類は実際の繋がりを写し取るので、足りない知識もそこで初めて目に入る。
分類に使っていた判断を、繋いで書くほうに回せる。これがリンク中心に切り替える一番の見返りです。断片から関連を見つけて並べ替える作業は、AIに手伝わせるとさらに速い。器は、中身が出てきてから作るほうが実態に合います。
タグはログと状態管理だけに残す
分類をリンクへ渡したあと、タグに残る仕事は二つだけです。ログの取り出しと、状態の管理。
一つ目のログは、デイリーノートに書き流す記録のことです。その日の体調、読んだ本、買ったもの。こうした一行の記録に少数のタグを付けておけば、後からタグをたどって該当行だけをざっと眺められる。並べ替えたいわけでも、まとめて考えたいわけでもない。ただ時系列でさっと引き出したいだけの情報に、タグは向いています。
二つ目の状態管理では、タグを「状態」ではなく「次の行動」で分けるとうまくいく。reviewは見直す対象、draftは育てる対象、thinkingは論点がまだ定まらない探索の対象。同じ「未完成」でも、次に何をするかで名前を変える。draftは失敗の印ではなく、次に手を入れる相手を指す目印です。書きかけのまま放置せず、段階的に育てていく。ノートが「これだけ読めば意味が分かる」状態になり、他のノートと繋がったらdraftを外す。
ここで手間を消してくれるのがDataviewです。
ノートにタグを付けておくだけで、そのタグの付いたノートをDataviewが自動で一覧にする。フォルダのあちこちに散っていても、ホームノートを開けば関連する断片がいつも最新の並びで出てくる。目次を手で作り直す必要はありません。使い方は別のページ(📋Obsidian Dataviewの基本と実践)にまとめています。
静的な属性はプロパティに移す
タグを減らすとき、最後に迷うのが「動かない属性の置き場」です。作成日、読了日、シリーズ名。こういう情報をタグにすると、goryugoというタグが話者を指すのかテーマを指すのか、後から見分けがつかない。
使うのは、YAMLフロントマターのプロパティです。speaker: goryugoと書けば、その語が何を指すかは一目で決まる。キーとバリューのペアにするだけで、ただ並んでいた言葉が意味を持つ。タグは数が増えるほど一つひとつが何を指すのか曖昧になっていくが、プロパティは増えても意味がぶれない。DataviewやAIにノートを読ませるときも、プロパティなら内容を取り違えずに拾えます。
キーの種類は、少ないほど迷わない。
peopleとprojectの二つがあれば、たいていの用途はまかなえます。peopleには、誰とのやり取りか、誰に関する情報かを入れる。projectには、どの案件・シリーズかを入れる。projectを付けておくと、フォルダの置き場に縛られず、案件ごとにノートを横から集められる。種類を増やすほど記入のたびに迷い、一貫性が崩れ、AIに任せる指示も複雑になる。最初はpeopleだけで始めて、必要になったらprojectを足すくらいでちょうどいい。プロパティとBaseの組み合わせは別のページ(obsidian-bases)で扱いました。
タグからプロパティへは、一度に全部を消そうとしないこと。静的な属性から順に移し、タグはログと状態管理だけに残していく。移す手間は一度きりで、後から読んでもぶれない構造が手元に残ります。
reviewタグとSpaced Repetitionで見返しを仕組みにする
タグを減らす話をしてきましたが、一つだけ、たくさん付けてよいタグがあります。見返しのためのreviewです。
全部のノートを毎回振り返るのは続きません。reviewを付けたノートだけをレビュー対象にすれば、量が現実的になり、本当に見返したいものだけが繰り返し出てくる。ここにSpaced Repetitionプラグインを繋ぐ。最後に見た日から一定の間隔をあけて、そのノートが自動でまた表示される。出てきたら「今日やる」「また今度」「完了」を選ぶだけで、次に出る日が決まる。忙しい日は「また今度」で送れるから、無理なく続きます。
この仕組みは、GTDの「いつかやるリスト」が抱える弱点をそのまま解きます。いつかやるリストは、週ごとに全部を見ようとすると膨大になり、やがて誰も開かなくなって破綻する。毎日少量ずつ出す形なら、処理できる分だけが目の前に来る。切り出した直後のノートは価値がまだ決まっていないので、生成と同時にreviewを自動で付けておく。放っておけば二度と参照されないノートも、これで必ず見返しに戻ってきます。
外すときの基準も、はっきりしている。何度か見返して「もういいかな」と思えたら、reviewを外す。迷ったら、そのノートに「最低でも一行は書き足したいか」を問う。それすら億劫なら、今の自分には要らない情報です。外すほど、本当に見返したいノートだけが残り、一回のレビューが軽くなる。何を外したかを並べて見ると、自分が今どこに重きを置いているのかが見えてきます。導入の手順は別のページ(spaced-repetition)で解説しています。
タグを減らすと、探すのが楽になる
冒頭の長すぎるタグ一覧に戻ります。散らかっていたのは、一つのタグで分類も、記録も、属性も、進み具合も、全部をやろうとしていたからでした。
一つのタグに詰め込んでいた用途を、一つずつ別のやり方へ振り分けていく。分類とつながりはリンクとトピックノートに移し、動かない属性はプロパティに書き、タグには時系列の記録と状態だけを残す。数が減れば、残ったタグは意味がはっきりして、探すのも楽になります。どこまで移すかは一度に決めなくてよく、迷ったノートから少しずつ振り分けていけば足りる。Obsidianの使い方を通して見たいときは、🪄Obsidianの全技術もあわせてどうぞ。
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