>コモンプレイス・ブックをものすごく雑に説明するなら、それは、本を読んでいるときに出会った名言や感動した箇所を抜き書きしたり、本を読んで思いついたことを書きとめたりするノートである。
>ルネサンス以降の西洋世界におけるコモンプレイス・ブックがcommonplaceの本である所以は――もちろん、「決まり文句」が集められているからではなく――このノートに書きとめられたメモの1つひとつが自分なりのcommonplaceであり、何らかのテーマに関する自分なりの語り方を形作るものである点にある。すなわち、何かについて意見を述べる場合の自分の語り方をノートにあらかじめストックすることが、コモンプレイス・ブックを作る意義であったことになる。
>当然、コモンプレイスがノートにストックされるとき、そのコモンプレイスには、もとの本において占めていたのとは別の新しい文脈が与えられる。したがって、自分が作ったコモンプレイス・ブックを読みなおすことにより、新たな発見や思いつきが生まれる可能性がある。もちろん、このような発見や思いつきもまた。新たなコモンプレイスとしてコモンプレイス・ブックに書き加えられるべきものであった。コモンプレイス・ブックの実質は、「備忘録」というよりも、むしろ、「知的生産を想定して作られた読書ノート」であると言うことができる。
>ロックがこの文章において推奨するコモンプレイス・ブックの作り方とは、大雑把に言うなら、本を読んでいて目にとまったフレーズを抜き出してコモンプレイスとすること、そして、これに(ラテン語の)タグをつけ、このタグを用いてコモンプレイスを並べることである。すなわち、タグをコモンプレイス・ブックの見出しとして利用し、この見出しのもとに1つひとつのコモンプレイスを挿入することをロックはすすめているわけである。(もちろん、抜き書きされた引用をどのテーマに分類するかは、各人の自由である。)このように排列して置けば、特定のテーマについてのコモンプレイスをまとめて参照することが可能となる。
[コモンプレイス・ブックを作るとは : AD HOC MORALIST](https://web.archive.org/web/20170519104045/https://adhocmoralist.blog.jp/archives/1205197.html)
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from 2024-10-09