# クロールのためのトレーニング
## “前に乗る感覚”を身につける「フロントブリッジ」
高橋監督が最初に教えてくれたのは、体幹の筋肉を鍛えるためのエクササイズ「フロントブリッジ」だ。腹筋や背筋など、体幹の筋力強化とともに、クロールでストロークする際に水をかいて体を前方へ進める感覚をつかむのにも役立つ。高橋監督の言葉を借りれば、「水中で“前に乗る感覚”を身につけられる」というエクササイズだ。
「フロントブリッジ」で体幹の筋肉を引き締める
[![[950027d8a632cdbd155acef2a114528f_MD5.jpg|100]]](https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100010/012200008/?SS=imgview&FD=-654674548)
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(1)両手と両膝を床に付いて四つんばいになり、腹圧を入れる。
(2)足を後方に片足ずつずらしながら、両膝を持ち上げて、腕立て伏せの体勢になる。みぞおちを上げて少し猫背気味にするよう意識する。
(3)顔は真っすぐ下を向けたまま、つま先の力を使って、前方へグーっと体を移動させる。この状態で30秒キープする。
初心者の指導経験も豊富な高橋監督によると、「よくあるNG例は、最初に四つんばいになった時に、お腹が落ちること」だという。水の中と同じように腹圧を入れて、少々猫背気味に姿勢を保つ。また、このときに、肘を曲げないように注意する。
腹圧が入っていないNG例
[![[2d65a5dfd934a257033bb21e8ca53ccc_MD5.jpg|100]]](https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100010/012200008/?SS=imgview&FD=-653719251)
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腰を反らすと体幹のトレーニングにならない
実際にやってみると、腹圧を入れて猫背になった状態で「前に乗る」姿勢をキープするのはかなりきつかった。10秒ほど経過した頃には、腹筋がプルプルと震え出す。通常の腕立て伏せでも腹筋は鍛えられると聞くが、フロントブリッジのほうが腹筋にははるかに効いているように感じた。また、体を支える腕が斜めになるので、腕や肩への負荷は結構強い。
腹圧をしっかり入れると「かなりキツイ」
[![[d21b50704e621455df192db31358a018_MD5.jpg|100]]](https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100010/012200008/?SS=imgview&FD=-652827506)
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腹筋がプルプルと震え、額にはすぐ汗がにじみ出てきた…。
運動不足の記者にとっては相当きついトレーニングだったため、高橋監督に少し負荷を落としたアレンジ方法も教えてもらった。下の写真のように、膝を床に付いたままの状態で「前に乗る」姿勢をキープすればいい。これならば女性でも実践できそうだ。
負荷を軽くした「フロントブリッジ」
[![[7e82b3bd5c8c6d81daae252d1da16a7c_MD5.jpg|100]]](https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100010/012200008/?SS=imgview&FD=-651903985)
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最初、四つんばいになる際に、両手を付く位置をやや前方よりにする。この姿勢から体を前方へ移動させる。
## 肩甲骨の動きを高める「肩立て伏せ」
次に行ったのは、「肩立て伏せ」という聞き慣れないエクササイズだ。四つんばいの姿勢から少し上下動を加えて、肩甲骨を寄せたり離したりする。このエクササイズには、「肩甲骨の可動域が広がり、クロールで水をかいた腕を後ろから前へ戻す動作(リカバリー)がスムーズになる効果がある」(高橋監督)そうだ。
肩甲骨の可動域を広げる「肩立て伏せ」
[![[753aed469e287db920478daee95c7935_MD5.jpg|100]]](https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100010/012200008/?SS=imgview&FD=-650980464)
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(1)両手、両膝を付いて四つんばいになり、肘をしっかり伸ばす。(2)少々前のめりになり、肩甲骨同士をグーッと内側に寄せる。(3)体を上げながら、肩甲骨を外側へ離していく。(4)最後は、猫背になるくらいまで肩甲骨を離す。また(1)へ戻る。これを10回繰り返す。
高橋監督が披露してくれた“模範演技”を見ると、骨に油が差してあるのかと思えるほど、肩甲骨が柔らかく寄ったり離れたりする。「ウワー、寄ってますねぇー、監督」とカメラマンが見とれながら写真を撮り続けていた。
肩甲骨がここまで開閉できれば達人級
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指が挟まるくらい、肩甲骨を寄せるのが理想的。
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[![[d5d0ada189fe4ff098c0d1c4ad4c351d_MD5.jpg|100]]](https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100010/012200008/?SS=imgview&FD=-649133422)
猫背になるまで肩甲骨を離したところ
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40代後半で体の随所がガチガチになっている記者。「これは絶対できない…」と確信した。しかし、ものは試しとやってみると、意外にも2~3回目の挑戦でOKを頂いた。一番難しいのは肩甲骨を寄せるところだが、体を少し前のめりにする勢いを使うと何とか上手くいくようになる。背中にしわを寄せられた瞬間にささやかな達成感を得られた気がした。
気合いを入れて肩甲骨を寄せた!
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体を少し前のめりにする勢いを利用するのがコツだ。何とか肩甲骨を寄せようとして、肘が内側へ曲がってしまうこともあったが、それでも高橋監督から「まあ、いいでしょう」を頂いた…。
「このエクササイズは肩こりの解消にも効きますので、デスクワークで疲れた時などにお勧めですよ」と高橋監督。男性より女性のほうが肩甲骨が動きにくく、動きが固まっている。日常からよく動かしておこう。
## クロールでの肩甲骨の動きをスムーズにする「ショルダーアップ」
今回最後のエクササイズは、床にうつ伏せになってクロールのリカバリーのような動きを行う「ショルダーアップ」だ。「クロールのリカバリーにおける肩甲骨の使い方を意識しながら、肩甲骨の動きをスムーズにさせていきます」と高橋監督。腕を上げる際に、先に紹介した「肩立て伏せ」で行った肩甲骨を寄せる動きを加えながら、腕を前方へ戻すのに合わせて肩甲骨を後ろから前へと動かす。
肩甲骨の動きをスムーズにする「ショルダーアップ」
[![[787a1c4c28b6946193b72cc3e8ae54fc_MD5.jpg|100]]](https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100010/012200008/?SS=imgview&FD=-647286380)
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(1)うつ伏せに寝て、左腕は前方に伸ばし、指先だけで床をつかむ。右腕は後方に向けて、手の甲を床に付ける。顔は真下に向けて、クロールと同じ姿勢をとる。(2)右手の親指を下に向けたまま、クロールのリカバリーと同じように右腕を体に沿わせて回転させる。左手の指先で体をしっかり支える。(3)肩甲骨を内側に寄せながら、さらに右腕を持ち上げる。(4)肩甲骨を前に動かすようにして、腕を前へ戻していく。(5)~(8)同様に左腕のリカバリーを行う。これを10回繰り返す。
「ショルダーアップ」を横から見たところ
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肩甲骨が後方から前方へ大きく動いている。
「これは水中の動きを陸上でやるだけだから楽勝だろう」とたかをくくっていた記者。しかし、実際にやってみると、リカバリーの際に手のひらをどちらに向けたらよいのか、戸惑ってしまった。特に腕を後ろから前へ戻すときに、手の甲をどちらに向けたらよいのかで悩んだ。「詳しくは今後のレッスンで説明しますが、リカバリーのときは親指を上ではなく下に向けるのが正解なので、手の甲は体の外側を向くようになります」と高橋監督が教えてくれた。確かに親指を上に向けてしまうと肩は回せない。
手のひらの動かし方をマスターするのに四苦八苦
[![[8a2cc232f7ecbc5b916c8051a61793a0_MD5.jpg|100]]](https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100010/012200008/?SS=imgview&FD=1181856491)
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一連のエクササイズを行ってみると、写真(2)のときのように、手の甲を外側に向けながら肩を回すのが難しい。本来は顔を上げてはいけない。(4)ここで肩甲骨を寄せるよう指導を受けた。
腕の動かし方に慣れてきたところで、高橋監督から新たな課題を頂いた。それは、リカバリーする腕と逆の足のつま先をしっかり床に付けること。「実際のクロールでは入水する腕の反対側の足でキックを打つので、そのタイミングを学ぶことができるんですよ」(高橋監督)。ここまできっちりやると、床の上でもプールで練習しているような感覚を味わうことができた。
次: [50歳直前ペーパースイマー、100m「美メドレー」への道の記事バックナンバー:スポーツ・エクササイズ:日経Gooday(グッデイ)](https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100010/?TOC=2)
# 水泳の技術
まずはこれを読んで学ぶ
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## 水中で息を吐くと足が沈む
ところで、肺が体の浮袋になると教えて頂いたものの、どうも実感が湧かない。「では、水中で息を吐いていくと、姿勢がどうなっていくか見てみましょう」。高橋監督の提案で、実験してみることにした。
「パッ」「ハー」を行った後に「ウン」で息を止め、水中にフラット姿勢で浮かんだ状態で、鼻から息を吐き続けた。すると、あら不思議(でもないか…)。肺から空気が抜けるにつれて、見事に足が沈んでいった。「ウン」をせずに水中で息を吐きながら泳いでしまうと、フラット姿勢は保てないわけだ。
水中で息を吐き続けると、次第に足が沈んでいく
[![[7b0a11d40855ccb4609a95a4f5b36a8b_MD5.jpg|100]]](https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100010/102900003/?SS=imgview&FD=1159691987)
[![[9dc265001e102b97deafc5612268fed0_MD5.jpg|100]]](https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100010/102900003/?SS=imgview&FD=1160615508)
フラット姿勢は息をしっかり止めないと保てないことが分かった。
[水中で正しい姿勢を保つ呼吸とお腹の関係とは (3ページ目):50歳直前ペーパースイマー、100m「美メドレー」への道:日経Gooday(グッデイ)](https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100010/102900003/?P=3&ST=exercise)
## ビート板の良い持ち方
ところで、初心者はビート板の持ち方を間違えていることが多いという。正しい持ち方は下の写真のように、ビート板の上面に両手のひらを乗せる方法だ。
ビート板の上面に両手のひらを乗せる。
[![[67073fd447eabdca32cd8b15d7b9e7ad_MD5.jpg|100]]](https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100010/111500004/?SS=imgview&FD=-651903985)
## ビート板の悪い持ち方
一方、両手でビート板の両端を持つのは間違った持ち方。端を持つと、ビート板が水中に沈み込みやすくなり、上半身の姿勢を安定させるのが難しくなってしまうからだ。
[![[ceb6534344c14f1d27bc9685889d4b75_MD5.jpg|100]]](https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100010/111500004/?SS=imgview&FD=-650056943)
両端を持つと、ビート板が水中に沈み込みやすくなり、安定しない。
## キックは脚を水面上に上げる感覚で動かすアップキック
このキックがベストである理由は、「フラット姿勢を保ちやすいことなんです」と高橋監督。「ただ浮くだけだと下半身が下がってしまう人が多いのですが、アップキックによって足を水面の上まで上げると、その勢いで姿勢をフラットに修正できるのです。逆にダウンキックだと、さらに下半身が下がりやすくなってしまいます」。眉間をプールの底に向けてアップキックを行うと、確かに下半身が沈まなくなった。
「サーフェスキック」が最新のキック法
[![[7a065e28fd53e6ebcb3fc671db37ab86_MD5.jpg|100]]](https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100010/111500004/?SS=imgview&FD=-649133422)
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脚を水面上に上げる感覚で動かす。フラット姿勢を保ちやすいので、水の抵抗を受けにくく、最終的にクロールが速くなる。
しかし、バタ足をアップキックでしても、それほど速くなった気がしない。高橋監督に聞くと、「水泳の推進力は、7割が腕のストロークによって生まれ、キックの効果は3割しかないのです。たしかにバタ足だけで泳ぐならば、アップキックよりもダウンキックの方が速いかもしれません。しかし、アップキックでフラット姿勢を保てば、水の抵抗が弱まるので、腕のストロークを加えると圧倒的に速くなるのです」と明快に説明してくれた。
## 横呼吸をする
「利き腕の逆側のほうが呼吸をしやすい人もいます」(高橋監督)という。自分の好みで呼吸すればよいそうだ。
ただし、注意しなければならないのは、横呼吸の際の顔の方向だ。まずは、ビート板の上に左手を乗せた状態で、横呼吸を練習した。自分はこれまで真横を向いて呼吸していたが、「正解は斜め後ろの方向なんです」と高橋監督(写真1)。その方がフラット姿勢を保ちやすいという。逆に水を吸い込むのを恐れるあまり、横を向いて顔を上げてしまうのは最悪な横呼吸だと高橋監督は指摘する(写真2)。
「顎が前方に上がり、胸を張ってしまうと、体が立つような姿勢になるため、下半身が沈んでしまいます。顎を引いたまま斜め後ろを見ること。腹圧をしっかり入れるのも忘れないでください」(高橋監督)。これが優雅で速いクロールをマスターするための大切なポイントになる。実際に斜め後ろを見て呼吸してみると、確かにお腹に力を入れやすい。しかし、下の写真で比べて見ると分かるように、顔を水面から上げない分だけ、素早く息継ぎをする必要がありそうだと感じた。
横呼吸では顔を斜め後ろ方向に
[![[c768dc56adde621295cbf6a0bd2d8875_MD5.jpg|100]]](https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100010/121300006/?SS=imgview&FD=-654674548)
**顎を引いたまま**斜め後ろを見て、腹圧をしっかり入れると、フラット姿勢を保ちやすい。
クロールの息継ぎでは顎を==引いたまま==で==斜め後ろ==を見る
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上を向いて顔を水面から出すのはNG
[![[d39f47e267775e8ad590e09a56f07262_MD5.jpg|100]]](https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100010/121300006/?SS=imgview&FD=-653751027)
水を飲み込むのを恐れて顎が前方に上がると、体が立つ姿勢となり、下半身が沈んでしまう。
自分が今泳いでるのは「キャッチアップクロール」だった。
まあ、しばらくはこれを練習してもいいかも。次回は、あごを引いて泳ぐ。