[音と脳――あなたの身体・思考・感情を動かす聴覚](https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/431401203X/room510-22/)

著者:ニーナ・クラウス,伊藤 陽子,柏野牧夫
出版社:紀伊國屋書店
出版日:2024/3/1
# 関連・思い出した本
[[31.25.04『脳と音楽』]]
# 読書メモ
2025-09-17
また借りて読むことにした。
# 序章 サウンドマインド
音というものは過小評価されている、と感じている著者。
著者が調べるのは「外」の音が聞こえると、脳の「中」でなにが起きるか、ということ。
また、音に「意味」が割り当てられると、脳の反応が変わる、ということをウサギの実験で確認した。
目が見えない脊椎動物は多いが、聴覚がないものはない。これは、自衛、警報の装置として非常に重要である、ということ。
そんな聴覚だが、現代社会では非常にそれが軽視されている。大きな理由は、騒音が多すぎること。これによって現代人の聴覚はマヒしてしまい、どんどん四角重視の世界になっている。
我々は、会話において毎「秒」25〜30の音素を聞いて、それを処理している。
blinkという音は、drinkでもblintでもない。これがわかる。
聴覚は、感情や思考、感覚や運動と緊密なネットワークを形成している。
本書で登場するサウンドマインドということばは、音、音と脳との関わり、それが及ぼす影響をひっくるめたもの。
音の処理を豊かにする方法や、処理が悪影響をうける仕組み、音が人をいやすと、騒音が与える影響。そういうものをまとめた本。
# 1部 音の働き
## 1章 頭の中の信号
ギターをかき鳴らした時には、気圧はおよそ0.013g変化する
[[周波数は物理的特性でピッチは人間が認識する音の高低]]
音色は、主に倍音の違い
[[私たちは声のピッチだけで男女の区別が出来る]]
音色の違いによって「so」と「sue」というものが区別できている。
[[我々は倍音の違いだけで楽器の音色を聞き分けることができる]]
[[話し言葉が理解できるのは人による違いが少ないフォルマントの違いを聞き分けられるから]]
[[BILLとPILLの音は無声音から有声音に切り替わるタイミングのみの違い]]
[[eeの発音とooの発音はフォルマントの違いだけで聴き取れる]]
## 2章 頭の中の信号
頭の中の上りの処理
[[3つの耳小骨で脳の信号は200倍に増幅される]]
[[上オリーブ複合体は左右の時間差や音量差を検知する]]
[[ニューロンの同期は耳に近いほど長い尺度を統合した処理をする]]
上りの処理に比べると、下りの処理の方が神経系の接続が多い。
視覚が音の処理に与える影響について
[[音のニューロン接続は上りよりも下りの方が接続が多い]]
[[音の聞こえ方は視覚によって変化する]]
[[音は人間の動きに影響を与える(調律したピアノは弾きやすい)]]
リズムパターン、メロディを聞くだけで、脳の運動系は活性化するし、演奏風景を見ることで、聴覚中枢が活性化する。
[[知識や感情も音に連動して判断に影響を与える]]
## 3章 学習
[[年を取ってからも適切な方法があればきちんと学習して習得ができる]]
外有毛細胞は、遠心処理を受け取る。(外有毛細胞は内有毛細胞の3倍の量がある)
これは能動的に動き、内有毛細胞が脳に伝える情報を修正する。
たとえば、小さい音を大きくして、大きい音を小さくしたりすることで、音量の範囲が調整される。
[[音は注意を払い学習することで自然に聴き取れるようになる]]
[[聴き取れるようになるために何に注意を払うか学習することが重要]]
## 4章 聴く脳
ここで、実験方法がいろいろと確立していったことが語られる。
## 5章 音楽はジャックポット
音楽は、感覚、運動、感情、思考と関わる。
[[音楽家は注意を払わなくても音に反応してしまう]]
[[週数回30分音楽の演奏をすると「音楽家」的な脳の変化がある]]
[[音楽家は演奏を「見る」ことで音に対してさらに反応が強くなる]]
[[音楽を聴くだけでも運動皮質は活性化する]]
[[音楽の演奏で聴覚のワーキングメモリも発達する]]
創造性も高まることがわかっている
## 6章 頭の中のリズム、頭の外のリズム
144BPMのコンガの音(1/2秒に1回鳴る)を聞くと、脳の反応のピークは、1/2秒に加えて、リズムを暗示させるリズムも作る。
[[リズム知能には「拍子を取るだけ」「パターン認識」など多様な知能がある]]
[[リズム知能は言語の発達や読み書きに相関があるように見られる]]
[[騒音下での言葉の理解も「リズム知能」が関わる]]
[[発話学習ができる動物のみが音楽のビートに合わせて踊ることができる]]
[[音は空気の動きなのでリズムも必ず動きがある]]
このリズムの同調というのは仲間意識を高める効果もある。
歩くという行為もリズムであり、リズムの同調は言語両方にも使えるのではないか、とも考えられている。
[[da の音に対する脳の反応]]
## 7章 言語のルーツは音
[[英語、フランス語、デンマーク語はスペリングが難しい言語]]
[[スペリングが難しいと読字の獲得が遅れる傾向がある]]
[[文字を読むには音の理解と「聞こえ」の一貫性が必要]]
[[人の脳に「読む」中枢はない]]
[[言語とは音のパターンの学習で暗黙のルールを学ぶことが役に立つ]]
[[音要素の聞き分け能力は知能ではなく音への脳の反応の違い]]
[[言語障害の原因は子音の聞き取り能力にある]]
[[言語の聞き取り能力は聴き取りやすい環境を用意することで向上できる]]
## 8章 音楽と言語の協調関係
[[音楽は言語によい影響を与えるというアニラッド・パテルの「OPERA仮説」]]
楽譜とは、音と意味の結びつきを示すもの。
聴覚の情景分析という悪条件での聞き取り
rhythmとworking memoryも重要かもしれない
経験で聞き取り力は上昇し、さらに音楽をやめてもこの能力は長く残る
[[聞き取り能力の向上に重要なのは能動的な関与]]
[[聞き取りに根本的な変化が表れるのは2年後だが子供時代を過ぎても効果はある]]
また、音楽には仲間意識を高める効果もある。
## 9章 バイリンガル脳
[[世界の半分以上の人間はバイリンガルだがアメリカで2カ国語以上話せる人は20%しかいない]]
バイリンガルは、脳の仕組みがどのように違うのか?
BillとPillの音は、実は違いは有声音がいつから始まるのか、というだけの違い。
これはあいまいなものではなく、25~30msの閾値を超えると、明確に異なる音になる。
[[聞き分けの能力はトレーニングをして上達する]]
[[音は知覚ができると生成ができるようになる]]
[[バイリンガルの人は2種の言語に対する予測と神経系の活性化がある]]
[[知っていることは意識しても消せない]]
[[バイリンガルは音の反応が数ms遅くなるがそれよりもいいことの方が多い]]
[[バイリンガルは語彙が少ない傾向があり騒音下での聴き取りづらさも増えやすい]]
非言語のものは、騒音下の聞き取りが得意なので、処理能力は強化されているとも言える。貧困者によくあるノイズも少ない傾向がある。
[[バイリンガルは抑制が得意で衝動性を抑えやすい]]
## 10章 鳥の歌
これは「鳴き声」とは別のもの。そして、鳥の歌は遺伝子的なものではなく、学習で身に付けるものである。
## 11章 騒音
[[騒音には耳へのダメージ以外に脳に害を与える騒音がある]]
[[中程度の騒音に晒されるとそのあとに話が理解しづらくなる]]
[[騒音がひどい環境はコルチゾールが増し記憶や学習に影響がある]]
[[騒音は頭の「中」にも存在し社会環境から予測が出来る]]
[[騒音に対する対策はそれがまず強力で有害だと認識すること]]
[[かつて積極的なかかわりを持っていた音楽は今は押し付けられるようになってしまう]]
[[音の聞こえには反響音もよくない影響を及ぼす]]
[[補聴器はニッチなものにせずよい方向に積極的に活用すべきである]]
## 12章 加齢とサウンドマインド
[[聞こえにくくなる原因は耳の機能だけでなく脳の衰えも原因]]
[[加齢の聞こえは補聴器で改善し外してからも効果が続く]]
## 13章 音と脳の健康
[[アスリートは音楽家と違う脳内のいずが小さいという特徴がある]]
脳震盪の経験は「聞く」にも大きく影響している。