[習慣と脳の科学――どうしても変えられないのはどうしてか](https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4622095882/room510-22/)
![[0747c041a038c5948565b866ab79cf98_MD5.jpg]]
(原著) [[ラッセル・A・ポルドラック]] (監修) [[神谷之康]] (翻訳) [[児島修]]
みすず書房 (2023/2/14)
2023/2/14
# 関連・思い出した本
[[『バレット博士の脳科学教室 7½章』]](トカゲ脳の話。直接的参考資料で言及されてた)
# 読書メモ
honsで知った
2023-02-27リクエスト
# 第I部 習慣の機械――なぜ人は習慣から抜け出せないのか
## 第1章 習慣とは何か?
習慣の詩人
習慣の動物園
習慣と目標
なぜ人間は習慣を持つのか?
行動を理解する
習慣と行動変容を理解するためのロードマップ
---
[[心や感情にも習慣がある]]
[[目的的な行動は習慣に変化し目的がなくなる]]
[[ルーチンは目標や意図でなく回数を基準に形成される]]
[[安定性と可塑性のジレンマ]](右側通行と左側通行をどう使い分けるのか)
[[行動は「長期的な目標」「習慣」「目下の欲求」の3つが競合した上で決定される]]
[[習慣の特徴は自動性と持続性]]
## 第2章 脳が習慣を生み出すメカニズム
習慣と意識的記憶
意識的な記憶のシステム
トカゲの脳と習慣の関係
大脳基底核とは何か?
ドーパミンは複雑なもの
ドーパミンと脳の可塑性
ドーパミンは何をしているのか
快感についてはどうか?
線条体での行動選択
ボックス2・1 興奮性ニューロンと抑制性ニューロン
ボックス2・2 光で脳を制御する
ボックス2・3 カルシウムイメージング――ニューロンを「光らせる」
---
[[過去を思い出すためには「宣言的記憶システム」が必要]]
[[記憶障害でも「学習」はできる]]
[[脳は意識ありと意識なしなどの複数の記憶システムを持つ]]
[[ポール・マクリーンが主張した三位一体脳説は完全に否定されている]]
[[ニューロンは興奮性、抑制性、調整性の3種の機能的つながりがある]]
[[大脳皮質の入力は基本的に「常に抑制されている」状態]]
[[直接路を通るか間接路を通るか決めるのはドーパミン]]
[[ドーパミンの影響で視床下核による大脳皮質の興奮と抑制が調節される]]
ドーパミンニューロンの数は少ない(60万個)
ドーパミンはアンプのボリュームノブのイメージ
[[ドーパミンの存在が直接路と間接路の通り方を変える]]
[[ドーパミン受容体は興奮を高めるものと抑えるものの2種類存在する]]
[[ハンチントン病は間接路のニューロンに問題が生じる病気]]
[[パーキンソン病は直接路のニューロンに問題が生じる病気]]
[[ニューロン同士の通信の仕組み]]
[[あるニューロンが他より強く活動電位を引き起こす理由はたくさんある]]
シナプス可塑性とは?
シナプス可塑性は学習にきわめて重要なこと
シナプスの強度は経験によって変わり、他のニューロンを刺激する力が強くなったり弱くなったりする。これがシナプス可塑性。学習に極めて重要だと考えられている。
[[ドーパミンの有無がシナプスの結合が強まるか弱まるかを分ける]]
ドーパミンが放出される原因はなんなのか
ドーパミンは報酬ではなく「予測とは異なるもの」に反応する
🐷つまり、新しいことを覚えるための機能?いつもと違うことのつながりを強化する
ただし、それだけに反応している、というほど単純でもないこともわかっている
アインシュタイン「科学理論はできる限り単純であるべきだが、単純すぎてもいけない」
[[ドーパミンの役割はインセンティブ・サリエンシー]]
ドーパミンの効果は快感?
好むのではなく、欲しがる、というのがドーパミンの基本
やはり難しいのは、ドーパミンがどこに放出され、受け取ったかによって効果が変わる
運動の部位では、運動量が減少
側座核では、基本的な快感は支障がないが、意欲が阻害される
動機づけには重要な働きをするが、報酬の喜びの側面はオピオイドやカンナビノイドだと考えられている
[[複雑な行動は大脳基底核を通過する間接路によって決められる]]
## 第3章 一度習慣化すれば、いつまでも続く
古い習慣は死なない
無意識的行動への移行
一つになる――ひとまとまりの行動としての習慣
トリガー警告――合図はいかにして習慣を引き起こすのか
よそ見はできない――報酬をもたらす刺激は注意を引く
習慣を強固なものにするメカニズム
ボックス3・1 DREADD
[[古い習慣は忘れられるのではなく抑制されているだけ]]
[[習慣は学習されたコンテキストに特化して身に付くもの]]
[[運動習慣が定着すると認知システムによる検閲を受けにくくなる]]
[[多くの習慣は複数の行動がひとまとまりになったもの]]
パブロフ型学習:外科医からの刺激が価値ある結果と結びついた時に起こる
道具的学習:特定の状況や刺激に対して、特定の行動をとることを学習する
[[パブロフ型学習から道具的学習への転移]]
[[パブロフ型学習から道具的学習への転移によって悪い習慣が誘発されることがよくある]]
[[インクと異なる文字を読むのに時間がかかる「ストループ効果」]]
[[ストループ効果はサリエンシーによって生じる干渉の反映]]
## 第4章 「私」を巡る闘い
脳内競争?
人間における記憶システムの相互作用
目標指向行動と習慣の区別を定式化する
モデルベース強化学習とモデルフリー強化学習
目標は習慣化できるか?
[[習慣は反射と目標行動の間にあるもの]]
[[習慣と目標指向行動は、独立しているのではなく両者が学習し競合している]]
[[ラットを使った「習慣的行動」を調べるプラス迷路実験]]
ただ単純に「経験」によって自然に覚えていく試行錯誤学習と、手がかりと結果を単純に記憶する対連合型学習
試行錯誤の記憶は大脳基底核が覚え、対連合型の記憶は側頭葉の内側が覚える
この 2つの脳の働きは競合し、どちらかが強く作用するともう片方の働きが弱まる。
パーキンソン病患者は、試行錯誤では覚えられないが、記憶ならばできた
[[心理学でよく知られる数少ない法則「効果の法則」]]
[[習慣はブロッキング効果によって他の習慣とは混ざらない]]
ベイズ予測による学習モデル(一番当たりやすいスロットマシーン。ある程度の探索をしながら、基本的には最も確率の高いものを選ぶ)
これが、習慣の理解に役立つ
サルのドーパミン細胞が予測する時と、強い相関がある
[[モデルフリー学習では正解にたどり着けないような問題がある]]
[[モデルフリー学習は外界の変化への対応が難しい]]
[[モデルベース強化学習はモデルフリー強化学習よりもはるかに優れる]]
[[習慣はモデルフリー強化学習で身に付くもの]]
[[モデルフリーで学習するかモデルベースで学習するかは環境の影響が大きい]]
[[モデルベースは「状態」基準で考え、モデルフリーは「行動」を基準に考えるというイメージ]]
[[集中できないと人はモデルフリー制御を用いる]]
[[薬物中毒者の行動は習慣ではなく目標志向]]
[[目標はそれ自体が習慣的になり得る]]
## 第5章 自制心――人間の最大の力?
脳の前部には何がある?
なぜ前頭前野は特別なのか?
情報を心に保持する
強いストレスを感じているときに生物学的に起きていること
一番辛いのは「待つこと」
今? それとも後?
一つの脳に二つの心?
衝動をコントロールする
自分を止める
意志力の盛衰
ボックス5・1 拡散強調画像を用いた白質の画像化
ボックス5・2 ゲノムワイド関連解析
ボックス5・3 脳への刺激
ボックス5・4 なぜ小規模な研究が問題になりうるのか
[[前頭前野は自制心に関わる脳の部位]]
[[前頭前野は前方になるほどシナプスが複雑に結合し高度な処理をしている]]
[[前頭前野もそれをつなぐ白質も成熟が遅い]]
[[前頭前野は目標の長期保存に重要]]
[[ワーキングメモリの保持にはノルアドレナリンも重要な可能性が高い]]
[[前頭前野が機能を発揮するにはストレスもアドレナリンも「ちょうどいい」ことが重要]]
[[マシュマロテストの結果は世間の印象ほど単純ではない]]
[[マシュマロテストでわかるのは知能ではなく自制心]]
[[大人が信用できないような環境にいる子供はマシュマロテストで待てないようになる]]
[[遅延割引率(我慢強さ)の値「k値」は、個人間の違いが大きい]]
[[薬物依存者は「k値」が高い]]
マシュマロテストはシステム1とシステム2の競合だと考えられていたが、これも今は批判されている
停止行動には視床下核が重要
意志力とは、目下の衝動を断つことではない、と考えられるようになってきている。
一般に、意志力が強いと思われている人は、衝動を抑制することが得意なのではなく、自制心を働かせる必要性を回避することが得意
つまりそれは、良い習慣を身に付けるのが得意で、
結局自制心はよい習慣からもたらされる
## 第6章 依存症――習慣が悪さするとき
麻薬の中毒的な魅力
「麻薬を使うと脳はこうなる。質問は?」
衝動から習慣への移行
ストレスと依存症
依存症は本当に習慣なのか?
「私のドラッグは食べ物」
デジタル依存症?
なぜ薬物依存症になる人とならない人がいるのか?
ボックス6・1 遺伝子調節とエピジェネティクス
ボックス6・2 陽電子放出断層撮影(PET)
[[麻薬はドーパミントランスポーターに作用するものが多い]]
麻薬が自然ではありえない作用かどうかを測定することは難しい。
麻薬が習慣化しやすいのはその量ではなく、効果が続くことが関係しているのかもしれない。
[[麻薬の恐ろしさは「サイレントシナプス」が残ること]]
麻薬は、その耐性が上がることで使用量が増え、そこから禁断症状が出てくるようになる。
また、麻薬を使うことでインセンティブ・サリエンシーが大きく上がる、というもの「やめられない」理由でもある。
[[麻薬を長く使う衝動性から強迫性の利用に変化してくる]]
依存とは、習慣と目標のバランスの乱れである
[[モデルフリー学習の割合が多い人が依存症になりやすい]]
[[依存症には「強い意志」が必要]]
現在増えている食べ物への依存
肥満の増加
太ることによって、より報酬に反応しにくい体になってしまう。
ドーパミンの受容体が減る。
[[現段階ではデジタル依存症だと言えるような研究データはない]]
どのようなものが依存症になりやすいか
タバコ、2/3の人が依存症になる。その他の薬物は大抵1〜2割程度。
どれもにたような遺伝子をもっているラットで、依存症になりやすい個体の傾向を調べてみると、衝動性と関係があるような結果が観測された。
[[依存症のなりやすさは幼少期のストレスや逆境に大きく関連する]]
# 第II部 習慣を変えるには――行動変容の科学
## 第7章 新しい行動変容の科学に向けて
公衆衛生問題としての行動変容
行動変容の新しい科学
行動変容のための新しいアプローチ
介入の標的
医学がこれだけ進歩しても、行動変容の学問は全く進歩していない。
未だに人類は禁煙や禁酒に失敗ばかりしている。
行動変容の理論としてはトランスセオレティカルモデルというものがあるが、そのモデルはなにも語っていない。
発生理由も、メカニズムもなにも語らず、ただ行動変容の信仰が記述されているだけ。
## 第8章 成功に向けた計画――行動変容がうまくいくための鍵
選択構造
損失回避とフレーミング
意思決定をするのではなく、ルールをつくる
トリガー警告――習慣への介入
習慣を逆転させる
マインドフルネス――誇大広告か、それとも効果的な手法か?
自制心は鍛えられるのか?
抑制の訓練
変化を想定する
まとめ
ボックス8・1 メタアナリシスによる研究結果の統合的な分析
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行動変容の改善のためのヒント
以下のような訓練によって行動変容が促される可能性がある
意識訓練
臨床医と協力して、自らのチック(くせ)について学び、チックが起こりそうなシグナル(前駆衝動)を把握する
拮抗反応訓練
チックが起こらないようにするために、新しい代替行動を身につける。例えば、頭を片側に動かすチックを防ぐために、それが起こりそうなときに首の反対側の筋肉を緊張させることを訓練する。
汎化訓練
拮抗反応をクリニック以外の日常生活のなかで使う訓練をする。
セルフモニタリング
本人または支援者(親や身近な人など)が、チックの発生を監視・記録する。
リラクゼーション訓練
緊張(チックの引き金となることが多い)を和らげるための呼吸法や筋弛緩法を学ぶ。
## 第9章 習慣をハックする――行動変容のための新たなツール
悪い習慣は消せるのか?
「喫煙者だったことを忘れた」
オプトジェネティクスはヒトに用いられるか?
神経化学的「ゴルディロックスゾーン」――実行機能を改善する薬
個別化された行動変容に向けて
## 第10章 エピローグ
まとめ
個人の変容から社会の変容へ
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