[言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか (中公新書)](https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0C4XF523T/room510-22/)

著者:今井むつみ,秋田喜美
出版社:中央公論新社
出版日:2023/5/25
# 関連・思い出した本
[[『言語はこうして生まれる』]]
# 読書メモ
2023-05-31
リクエスト
2023-07-07
届いて借りてきた
めちゃめちゃ長いこと待たされた印象
## はじめに
[[ことばの意味の理解に立ちはだかる記号接地問題]]
## 1章 オノマトペとは何か
[[オノマトペはギリシア語語源のフランス語]]
[[オノマトペは聴覚への作用なので「部分的な身体性」しか持たない]]
[[換喩とはある事物をそれに関係が深いもので表す比喩の技法]]
## 2章 アイコン性 形式と意味の類似性
[[オノマトペは単語の形自体がアイコン的なもの]]
[[濁音には程度が大きくマイナスのニュアンスがある]]
[[nの音には遅くて滑らかな印象がある]]
[[言語では「あ」の音は大きく「い」は小さいものを表す]]
阻害音と共鳴音
阻害音:b,t,k,s b,d,g,z
共鳴音:m,h,y,r,w
小さい物体は高い音を出し、大きい物体は低い音を出す
発音によってアイコン性を高める(母音を伸ばす、強弱、速さ)
ジェスチャーの併用
非母語話者は共有しにくい。つまり言語的だということができる。
## 3章 オノマトペは言語か
言語の10大原則
[[言語の10大原則:コミュニケーション機能]]
[[言語の10大原則:意味性]]
[[言語の10大原則:超越性]]
[[言語の10大原則:継承性]]
[[言語の10大原則:習得可能性]]
[[言語の10大原則:生産性]]
[[言語の10大原則:経済性]]
[[言語の10大原則:離散性]]
[[言語の10大原則:恣意性]]
[[言語の10大原則:二重性]]
経済性以外は、チャールズ・F・ホケットが他の動物のコミュニケーションと何が違うか論じたもの。
経済性は、アンドレ・マルティネが提唱。
かつてはこの他に「音声性、聴覚性」があったが、手話によって否定された。
[[一般語とオノマトペ、非言語音の言語性の比較表]]
## 4章 子供の言語習得1 オノマトペ篇
[[クワインのガヴァガ—イ問題]]
[[オノマトペは音と意味が対応するので学びやすい]]
## 5章 言語の進化
記号接地問題
身体性は言語理解に必要なのか?
[[言語では、やわらかいものは柔らかい音で表現される傾向がある]]
[[元・オノマトペの普通の言葉も普通に存在する]]
[[動物は鳴き声から名前が付けられたものが多い]]
[[方言はオノマトペ由来のことばが多い]]
音としての「写し取り方」には多様性がある。
[[言語がオノマトペから離れたのは「デジタル」の方が便利だったから]]
ぴえんからうまれたぱおんという言葉
象の大きいイメージというだけでなく、ぴ→ぱ(い→あ)に変化することでの巨大化とも合致する。
[[日本語でオノマトペが多く残ったのはオノマトペが副詞化したから]]
[[恣意性からアイコン性への回帰が起こる言葉もある]]
[[私たちはいつも一緒に現われるものを似ていると感じる]]
[[薄まったアイコン性は単語が増えることで体系化される]]
[[各言語におけるオノマトペの守備範囲(図)]]
[[アイコン性の輪(言語)]]
## 6章 子どもの言語習得2 アブダクション推論
[[こどばの理解は点ではなく面で行われる]]
[[言語を学ぶときは過剰な一般化やその逆がよく起こる]]
[[ブートストラッピング・サイクルで知識が増える]]
[[名詞の学習はまず形バイアスによって一般化しようとする]]
[[子どもの動詞学習は動作に使われる物の形の類似性も使う]]
[[言語習得とは推論による知識の増加]]
[[3つの推論の仕方]]
[[常に正しい推論ができるのは演繹だけ]]
## 7章 ヒトと動物を分かつもの —推論と思考バイアス
[[双方向の関係性は動物にはあたり前ではない]]
[[人間が言語を持つ理由は対称性推論をすることなのかもしれない]]
## 終章 言語の本質
### 1 意味を伝えること
- 言語は意味を表現する
- 言語の形式は意味に、意味は形式に結びついていて、両者は双方向の関係にある
- 言語はイマ・ココを超越した情報伝達を可能にする
- 言語は意図を持って発話され、発話は受け取り手によって解釈される
- 言語は推論によって作り出され、推論によって解釈される
- よって話し手の発話意図と聞き手の解釈が一致するとは限らない
### 2 変化すること
- 慣習を守る力と、新たな形式と意味を創造して慣習から逸脱しようとする力の間の戦いである
- 典型的な形式・意味からの一般化としては完全に理屈に合っていても、慣習に従わなければ「誤り」あるいは「不自然」と見なされる
- ただし、言語コミュニティの大半が新たな形式や意味、使い方を好めば、それが既存の形式、意味、使い方を凌駕する
- 変化は不可避である
### 3 選択的であること
- 言語は情報を選択して、デジタル的に記号化する
- 記号化するための選択は、コミュニティの文化に依存する。つまり、言語の意味は文化に依存する
- 文化は多用であるので、必然的に多様となり、恣意性が強くなっていく。
### 4 システムであること
- 言語の要素(単語や接辞など)は、単独では意味を持たない
- 言語は要素が対比され、差異化されることで意味を持つシステムである
- 単語の意味の範囲は、システムの中の当該の概念分野における他の単語群との関係性によって決まる。つまり、単語の意味は当該の概念分野がどのように切り分けられ、構造化されていて、その単語がその中でどの位置を占めるかによって決まる。とくに、意味が隣接する単語との差異によってその単語の意味が決まる。
- したがって、「アカ」や「アルク」のようにもっとも近く的で具体的な概念を指し示す単語でさえ、その意味は抽象的である。
### 5 拡張的であること
- 言語は生産的である。塊から要素を取り出し、要素を自在に組み合わせることで拡張する
- 語句の意味は換喩・隠喩によって広がる
- システムの中で意味の隙間があれば、新しい単語が作られる
- 言語は知識を拡張し、観察を超えた院がメカニズムの説明を可能にする
- 言語は自己制せ茂木に成長・拡張し、進化していく
### 6 身体的であること
- 言語は複数の感覚モダリティにおいて身体に接地している
- その意味で言語はマルチモーダルな存在である
- 言語はつねにそのツカイテデある人間の情報処理の制約に沿い、情報処理がしやすいように自らの形を整える
- 言語はマルチモーダルに身体に接地したあと、推論によって拡張され、体系化される
- その過程によってヒトはことばに身体とのつながりを感じ、自然だと感じる。本来的に似ていないもの同士にも類似性を感じるようになり、もともとの知覚的類似性と区別がつかなくなる(二次的類似性の創発とアイコン性の輪)
- 文化に根差した二次的類似性は、言語の多様性と恣意性を生む。しかし、それらは震旦的なつながりに発し、そこから拡張されて実現されている。このことにより、言語は、人間が情報処理できないような拡張のし方はしない。また、言語習得可能性も担保されている
### 7 均衡の上に立っていること
- 言語は身体的であるが、同時に恣意的であり、抽象的である
- 慣習に制約されながらつねに変化する(慣習を守ろうとする力と新たに想像しようとする力の均衡)
- 多様でありながら、同時に普遍的側面を包含する
- 言語は、特定の言語コミュニティにおいて、共時的↔通時的、慣習の保守↔習慣からの逸脱、アイコン性↔恣意性、多様性↔普遍性、身体性↔抽象性など、複数の次元における二つの相反する方向に向かうベクトルの均衡点に立つ