実際に記録を文章で残すようになると、多くの人に変化が訪れます。それは、文章で日記を書くことで、単語だけで書く時よりも多くのことが想起されるようになる、ということです。 文章で出来事を書くことには、箇条書きで出来事を書く場合と比べて大きな違いがあります。文章を書く際は、文脈や背景を説明する必要があり、その過程で関連する記憶や考えが自然と呼び起こされます。 これは、私たちの記憶が文脈依存的に保存されているという認知心理学の知見とも一致します。ある出来事について詳しく説明しようとすることで、その時の状況や感情、関連する他の出来事も同時に想起されやすくなるのです。 文章を書くことは確かに大変な作業です。しかし、この「大変さ」にこそ重要な意味があります。 自分が体験した出来事を文章化する過程で、私たちは単なる事実の記録以上のことを行っています。文章を書こうとすると、まず行動の背景や理由を自然と考えることになります。例えば「今日は仕事が終るのが遅くなり、自炊はできずにいつもの牛丼屋で食事をした」というように、単なる事実だけでなく、その行動に至った文脈も含めて記録することになります。 →[[文章で睡眠時間と食べたものを記録したサンプル]] また、その時の感情も自然と言葉になっていきます。「久しぶりの牛丼は予想以上においしく感じた」といった具合に、体験に伴う感情も記録の一部となります。 さらに、過去の経験との比較も自然と生まれてきます。「先週も同じ店で食べたけど、今日の方が混んでいた」というように、現在の体験が過去の記憶と結びつき、より豊かな記録となっていくのです。 このように、体験を文章化することは、強制的に「考える」プロセスを発生させます。そして、その「考える」というプロセスこそが新しい気づきやアイデアを生む土壌となるのです。 最初は「今日の夕食は牛丼を食べた」という単純な一文から始めても構いません。これが当たり前になってくれば、自然にその周辺の状況や感情、考えたことなども含めて書けるようになっていきます。 この「書く→考える→気づく」というサイクルを繰り返すこと。これがデイリーノートの第一歩です。「体験を文章にする」という、一見小学校の作文のように見えることですが、日頃から日記を書いていない人であれば、それ以降練習した体験はほとんどないはずです。大人になったからといって、こうした作文をバカにせず、まじめに毎日自分に起こった出来事と向かい合う。これこそが自分の頭の中を言語化するための基礎となるのです。 実際に、デイリーノートに出来事を書く時間は、1日5分も確保できれば上々です。しかし、その5分だけは、本気で集中する。焦らず、逸らず、真剣に文章を書くことに向き合う必要があります。 毎日5分間真剣に文章に向き合うのは、たかが5分といえど、想像以上に大変なことです。しかし、これが自然に、当たり前にできるようになってくれば、そこからは文章を書くことがどんどん楽しくなっていくはずです。 --- まずは「日々の出来事を文章で記録する」ことを続けましょう。書くことに真剣に向き合えば向き合うほど、文章を書くという行為が楽しくなり、その結果として自分の頭の中にある言葉にならない「なにか」を文章にすることができるようになっていくことが実感できてくるはずです。 もちろん、睡眠時間や食べたもの以外、どんなことを書いても構いません。どれだけたくさんのことをデイリーノートに書いても、Obsidianはすべてを受け止めてくれます。 しかし、現段階では「これ以上のことをやらない」という「やる気の貯金」が重要です。デイリーノートには、何をどれだけ書いてもいいけど、デイリーノート以外のノートは作らない。これ以上ノートを複雑化させない。「やること」も「メモ」も「議事録」も、すべてデイリーノートに残しておく。 大丈夫です。 デイリーノートに記録さえ残していれば、必要になった時にはいつでも取り出せます。下手に整理なんてことを考えるよりも、絶対全部デイリーノートに書いた、と確信できる方が、情報は素早くとり出せます。 今回は、こうしたやる気を維持するために[[デイリーノートチェックリスト(SETP1〜STEP2)]]を作りました。 STEP1を1週間試したあと、STEP2を2週間以上続けることが目標ですが、それより長く続ける分には、なにも問題はありません。チェックリストの項目は、どんどん自分で付け足していってしまいましょう。ここにたくさんのチェックが並べられるだけでも、想像以上に大きな達成感を味わっていただけるはずです。 決して焦る必要はありません。これから身に付けることは、生涯にわたって活用できる「書いて考えるスキル」です。一見すると遠回りに見える「基礎」を無意識にできるようになるほうが、結果的には近道になるのです。 📖次はこちら→[[ステップ3:デイリーノートから「発見」する]] > [!NOTE] 箇条書きと文章の違い > 箇条書きは「簡単」で文章は「大変」 > 箇条書きは「簡単」だから「書きっぱなしになる」 > 文章は「大変」だから「勝手に考える」 > > [!HELP] ヘルプ > 困った時は→[[Obsidianの基本的な使い方(概要)]]