[[ステップ:「感想」ではなく「観察結果」を書く]]に慣れてきたら、一度挑戦してみて欲しいことがあります。
それは、形容詞や副詞などの曖昧な表現を使わずに観察結果を書く、という方法です。
これは、いきなり挑戦するにはとても難しい項目です。そもそも観察結果だけを書くことすら難しいので、ここはあえて番外編という扱いにしました。
ステップ3では「観察結果」しか書かない、というのが主題でした。その理由は「事実」と「自分の考え」をきちんと区別するためである、という話をしました。
形容詞や副詞を使わないというのは、この「事実」の精度をより高めていく練習です。さらなる細かい観察によって、より精緻な「自分ならではの意見や考え」を手に入れていくための方法です。
実は、形容詞も副詞も、大きな意味では「楽をする」ための言葉です。
形容詞は「名詞の性質や状態」をあらわす言葉。たとえば「やわらかいパン」「甘いみかん」のように、そのことば一つだけで様子や印象が伝わってしまいます。そうすると「なぜそう感じたのか?」を立ち止まって考えることをしなくなってしまうのです。
一方、副詞は「動きや程度、気持ちのニュアンス」などを補う言葉で、「じっくり煮込む」「とてもすっぱい」「なんとなく物足りない」などのように、味や動作に感情や強さを足して表現することができます。
これもまた、自分が見たもの・感じたことを、副詞一つの言葉の印象だけで済ませてしまいかねないことばです。
本当は、何が「じっくり」なのか、どこが「物足りない」のかを観察して言葉にできたはずなのに、副詞を使ってしまうと、それ以上考えを進める前に「できた」つもりになってしまいます。
そしてもうひとつ、できれば手放してみてほしいのがオノマトペ(擬音語・擬態語)です。
「カリッ」「ジュワッ」「ふんわり」「とろ〜り」
こういった言葉も、五感を伝える手段として非常に強力ですが、あまりに強く、便利すぎるゆえに、実際に何が起きていたのかを見失いやすいという側面があります。
「カリッ」と書いてしまえば、それで終わってしまう。
でも「表面が乾いていて、前歯が入った瞬間に小さな音がした」と書こうとすると、そこには自分の体験に対する丁寧なまなざしが生まれます。
言葉をあえて封じることは、自分の観察を研ぎ澄ますことにつながります。
それは結果的に、ものごとを深く考え、自分だけの表現を見つけるための入り口にもなるのです。
形容詞、副詞、オノマトペ。どれも、どちらも非常に便利な言葉で、日常生活ではそれは欠かせないものだと言えるでしょう。
しかし、便利な言葉だからこそ、細かく観察しなくてもそれっぽく書けてしまう「危険な言葉」でもあるのです。
書いて思考を深める、という時には、こうした「当たり前」「楽をする」に頼らないことが重要です。
もちろんこれは、今日からすぐ始める、というのはとても難しい、負荷が高い練習です。
まずは「観察」だけに集中が出来れば充分です。
少し余裕が出てきた時に、もう一度振り返ってこの「形容詞」「副詞」「オノマトペ」を使わない。
これを一度思い出してみてください。
そしてここまで読んでいただいてお気付きになられたかもしれませんが「色や形」だけに注目するというのは、この「副詞や形容詞」を使わないようにする手法の一つでもあるのです。
「赤い」自体はもちろん形容詞ですが、