乗れないリズムは拍の数え方を変えて聴き込む:反復の前に乗り方を選び直す

譜面どおりに弾けるのにせせこましく聞こえるとき、数える拍と合わせる相手を選び直し、曲ごとの乗り方を聴いて入れる方法。

コードもフレーズも覚え、譜面どおりに音を出せている。それでも曲に合わせるために急いでしまい、あるいはそのジャンルらしく聞こえないことがあります。同じパターンを繰り返しても変わらないとき、まず曲の中でどの拍に乗り、どのパートを基準にしているかを確かめます。

譜面どおりでも乗れていないことがある

ジャンル固有のリズムは、ほかの音楽で身につけた乗り方をそのまま流用できません。反復を増やす前に、拍の単位と基準にする音を選び直し、その曲の乗り方を聴いて歌える状態まで入れる必要があります。

せせこましさは数えている拍から生まれる

同じ曲でも、どの細かさで拍を数えるかによって、演奏中の忙しさは変わります。セカンドライン・ファンクでは、ベースがゆったりしている一方で、ドラムは倍の細かさで刻みます。ドラム側の細かい拍だけを追うと、細かい音を短い間隔で追うことになり、演奏にも余裕がなくなります。

そのときは、半分の拍で数え直します。細かい刻みは大きな拍の中に収まり、曲全体を一つの流れとして扱えます。せせこましくなったときは、弾けない箇所を増やして探す前に、いま何拍で数えているかを確かめます。

反対に、ゆったりしたテンポで間を保てずに崩れるときは、その大きな拍の中に細かなパルスを置くことで弾きやすくなることがあります。拍の単位は、忙しさや間の持ち方に合わせて演奏する側が選ぶ対象です。

半分の拍へ変えても、ドラムの刻みが消えるわけではありません。それを大きな拍の内側の動きとして受け取ることで、細かい音の一つ一つを基準にせず、同じパターンでも余裕のある位置を選べます。

前へ出るときは基準にするパートを替える

拍の単位を変えても、お手本より前へ突っ込んでしまうことがあります。その場合は、何拍で数えるかとは別に、どのパートのタイミングへ合わせているかを聞き分けます。

ベースが走っている曲でベースへ合わせると、演奏のタイミングも前へ寄ります。そこでタイミングの基準をスネアへ切り替えると、ズレが消えて正確に弾けることがあります。走っているパートを基準にすれば、演奏のタイミングも前へ寄るからです。

同じ曲の中でも、楽器ごとにタイミングの癖は異なります。拍よりわずかに遅らせるレイドバックと、わずかに先行するオントップが、パートごとにばらけていることもあります。まず何をジャストとして扱うかを選び、残りの音をそこへ置くことで、演奏者のタイミングと全体の乗り方の両方が変わります。

譜面にない跳ね方を曲から受け取る

拍の単位と基準を選べても、譜面や一つの型だけで曲の跳ね方は決められません。シャッフルは、三連の真ん中を抜く形を一つ覚えれば済むものではありません。速くなれば跳ねは浅くなり、音が長くなれば発音の位置も変わります。

曲ごとに聴き、その曲の跳ね方を一定に再現する必要があります。

拍を食う、後ろへ粘る、裏だけで通すといった操作は説明できます。それでも、どこで使うと気持ちよくなるかは、聴いた例がなければ決められません。聴く量は、演奏中にどのリズムを選ぶかの候補を作ります。

聞き取った跳ね方やタイミングの例が増えるほど、演奏中に選べるリズムの候補も増えていきます。聞いたことのない置き方は、その場で選ぶことができません。

練習用の伴奏も、何を聞き取れるかで役割が変わります。グリッドに揃った打ち込み伴奏では、拍が同じ位置に同じ長さで配置されているため、ズレや溜め、音の長さの違いを聞き分ける対象がほとんどありません。

人の演奏を聴くと、各パートのタイミングや音の長さを受け取り、曲の中でどこへ乗るかを確かめられます。

人の演奏を聴く目的は、どれか一つのズレを正解として写すことに置きません。ベース、ドラム、そのほかのパートがどのように置かれているかを聞き、曲の中で基準にする相手を選べるようにすることです。譜面に書かれた音の並びだけでは残らない乗り方を、実際の音から受け取ります。

歌える状態を聴き込みの到達点にする

乗れない段階で反復だけを増やすと、乗れていない状態のまま形が固まります。まずはそのジャンルや曲を聴き、リズムを歌える状態まで聴く量を増やします。歌えることは、曲の跳ね方やタイミングを一つのまとまりとして受け取れている目安になります。

ただし、歌えることは楽器で同じタイミングを再現できることまで保証しません。歌では分かっているのに、楽器で同じタイミングを再現できない段階が残ります。その段階では、聴き込みを反復練習の代替にせず、身体が同じタイミングを出せるようにする練習が必要です。

せせこましくなったら、先に大きい拍で数え直すか、どのパートを基準にするかを聴き直します。練習回数を増やすのは、その後です。曲の乗り方を歌えるまで入れた後に、楽器で同じタイミングを再現できないなら、そこで初めて身体化の練習が残っていると判断できます。

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