大人が楽器を始めるならパッドが合理的な理由
大人になってから新しく楽器を始めるとき、パッドが合理的な選択肢になる理由を、ピアノやギターとの違い、等尺性の配列、身体への負担、DAWとの相性から説明します。
大人になってから新しく楽器を始めるとしたら、ピアノやギターを思い浮かべる人が多いと思います。
どちらも非常に優れた楽器です。ただ、「これからゼロから覚える」という条件で考えてみると、パッドという楽器にはかなり合理的なところがあります。
ここでいうパッドは、格子状に並んだパッドへ音を割り当てて演奏する楽器です。上下左右の音程関係がどこでも同じになる「等尺性」の配置を使うと、ピアノやギターとはかなり違った特徴が出てきます。
キーが変わっても同じ形で弾ける
ピアノには白鍵と黒鍵があります。
Cメジャーは白鍵だけなので分かりやすいのですが、キーが変わると白鍵と黒鍵の組み合わせも変わります。同じ種類のコードを弾く場合でも、キーによって指の形を変えなければなりません。
一方、等尺性のパッドでは、音と音の距離がどこへ移動しても同じです。
たとえばCで覚えたコードの形を、そのまま横へずらせば、DでもEでも同じ形で演奏できます。コードを「C・E・G」という音名だけで覚えるのではなく、「ルートからこの距離に3度、この距離に5度」という形として覚えやすくなります。
これはギターにも少し似ています。ギターも、同じフォームを平行移動して別のキーで使えることがあります。
ただしギターには弦という物理的な制約があります。パッドはそれがないため、ギターの「形を平行移動できる」という長所と、ピアノの「複数の音を自由に同時に鳴らせる」という長所を、ある程度両方持っています。
そのため、コードやスケールを覚えることと、音楽理論を理解することが分離しにくい、という特徴があります。
身体的な負担が小さい
大人が趣味として楽器を続ける場合、身体への負担は意外と重要です。
ギターなら弦を押さえる力が必要ですし、楽器そのものを構える必要もあります。ピアノにも、鍵盤を押し込み、広い範囲へ手を移動させるための身体の使い方があります。
パッドの場合、感度を高く設定すれば、かなり小さな力でも音を出せます。強く叩くのではなく、腕の重さを利用しながら、力を抜いて演奏することもできます。
これは単純に「楽だからよい」という話ではありません。
趣味として長く続けるには、演奏そのもの以外に必要な負担が小さい方が有利です。毎回楽器を触るまでの抵抗が小さければ、それだけ練習を始めやすくなります。
上達しやすいかどうか以前に、日常の中で気軽に触れられるかどうか。その点では、身体的な要求が少ないこと自体にかなり意味があります。
DAWを使うなら鍵盤を覚えることが必須とは限らない
パッドを考えるときには、DAWとの組み合わせも重要です。
今はパソコンやiPadの中に、ピアノ、ベース、シンセ、ドラムなど、さまざまな音源があります。そこで必要になるのは、必ずしも「ピアノという楽器を弾けること」だけではありません。
自分が考えた音をDAWへ入力し、それを演奏や作曲に使えることも重要です。
もちろん、鍵盤を弾ければ便利です。ただ、大人になってから一つの楽器を練習し、さらに鍵盤も覚え、DAWの使い方も覚えるとなると、学ぶことがかなり増えます。
パッドを使えば、鍵盤を一から習得しなくても、コードやメロディをDAWへ入力できます。一度覚えた配置は、ピアノ音源でもシンセでもベースでも同じです。
こう考えると、パッドは「鍵盤の代用品」というより、デジタル環境でさまざまな音を演奏するための共通インターフェイスとして見ることができます。
パッドがピアノやギターより優れているわけではない
パッドですべての楽器を置き換えられるわけではありません。
ギターにはギター独特の音色や身体感覚がありますし、ピアノにもピアノでしかできない表現があります。
ここで考えているのは、楽器そのものの優劣ではなく、大人がこれから音楽を始めるときに何を学ぶと扱いやすいか、という問題です。
全キーで同じ形を使える。身体への負担を小さくできる。音楽理論を形として理解しやすい。DAWのさまざまな音源を同じ方法で演奏できる。
こうした条件をまとめて考えると、パッドはかなり合理的な選択肢になります。
楽器を選ぶときには、好きな音や憧れだけでなく、どんな構造の楽器なら音楽を理解しながら長く続けられるか、という選び方もできます。
実際に最初の音を出すところから始めるなら、パッドを始めるなら最初はiPadに直結するでシンプルな始め方を説明しています。64パッドを楽器として使う考え方や具体的な練習方法は、⭕64パッドを楽器として使う:まとめから辿れます。
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