IK Total Studio:生楽器の音源選びに迷う初心者へ

欲しい音源がまだ決まっていないなら、セットから始める

生楽器を使った音楽を作りたいものの、具体的にどの音源プラグインを買えばよいか決まっていないなら、IK Multimediaの「Total Studio」のセットをおすすめします。音源の選び方を調べ始めた段階では、必要な楽器やメーカーの判断がつかず、個別に選ぶだけで迷ってしまいがちです。

私がこのセットを評価するのは、単品で一式揃えるより安く、必要な制作道具を広く揃えられるからです。すべてが最高峰というわけではなくても、それなりに使える道具が最初から手元に揃うことは、曲作りの全体像をつかむ助けになります。総合音源バンドルとしてはNative Instrumentsの製品群も有名ですが、生楽器系の初心者に最初に勧めるセットとしては、私には価格が高すぎると感じられます。

生楽器の音を揃えるとき、実際に役立ったもの

私が購入して使ってきたバンドルは「Total Studio 4 MAX」です。現行の最新版とは収録製品が一部異なりますが、実際に使ってみて役立った音源を紹介します。

ベースはMODO BASS、オルガンはHammond B-3X

バンドルに含まれていた音源の中で、明確に役割を果たしているのが、ベース音源の「MODO BASS」と、オルガン音源の「Hammond B-3X」です。

生楽器としてのベースの音を求める範囲であれば、MODO BASSが一つあれば事足りており、別のベース音源を買い足す必要を感じていません。また、オルガン音源のHammond B-3Xは、機能数や操作性以上に音が非常によく、満足度の高い音源です。

SampleTankで、まだ選んでいない楽器を試す

総合音源の「SampleTank」は、ピアノ、ストリングス、ブラスなど、一般的な曲作りに必要な楽器カテゴリを広く網羅しています。

この音源については、定番カテゴリを一つで広くカバーできる網羅性を評価している一方、同一カテゴリ内に古くて質が低いと感じる音源が多く、候補を探す手間が増えてしまう点は好ましく思っていません。それでも、少なくともAbleton Liveに付属するサンプリング系音源と比べると、私の耳にはSampleTankの方が自然さや存在感があり、音が良く感じられます。

2025年4月には、ダウンロードを終えたSampleTankで、ストラトキャスター、レスポール、アコースティックギターの音色を試しました。このように、まだ専用の音源を決めていない楽器を手元で試す入口として、実用的な役割を持っています。

全部を使い続けなくても、最初に試せる範囲に価値がある

大型バンドルには、音源だけでなくギターアンプシミュレーターの「AmpliTube」や「TONEX」、ミックス・マスタリング用エフェクトの「T-RackS」などもまとめて収録されています。

ただし、手に入ったプラグインのすべてを使い続ける必要はありません。私自身、一つの製品の中で膨大な候補に迷うよりも、用途が絞られた少数の使いやすい道具を手元に残すスタイルを好みます。たとえば、バンドルに含まれるドラム音源の「MODO DRUM」は使っておらず、ドラム音源にはToontrackの「EZdrummer」を使っているため、MODO DRUMの使用感は評価できません。

最初はセットを使って幅広い選択肢を試し、自分に必要な音を見極めたら使う道具を少数に絞り込んでいく。そのための入り口として、役割の違う制作道具が一通り揃っていることに意味があります。

今買う版は、収録内容とセール価格で選ぶ

これからIKのセットを購入する場合、現行のラインナップは「Total Studio 5」になります。

選ぶ際に注意したいのは、グレードによって収録されている音源のバージョンが異なる点です。本記事で紹介したベース音源とオルガン音源について見ると、下位グレードに含まれるのは機能限定版の「MODO BASS 2 SE」ですが、フルバージョンの「MODO BASS 2」と「Hammond B-3X」が収録されているのは最上位の「Total Studio 5 MAX」です。どの製品が含まれているかは、購入前にIK公式比較表で確認することをおすすめします。

また、音源プラグインは定価で急いで買う必要はありません。大型セールのタイミングを待ってセットのセール価格を見ることで、費用を抑えて必要な道具を一通り揃えられます。