生産性が人生の物差しになると趣味が始められない

生産性は仕事の道具なのに人生全体の物差しに転用されている。一度この物差しで測り始めると「上げる」以外の方向がなくなり、趣味は常に後回しにされる。

大人の趣味理論の前提

生産性が人生の物差しになると趣味が始められない

生産性はもともと経済の道具です。仕事の中で「もっと少ないコストで、もっと多くの成果を」と測るための物差し。ところがこの物差しが仕事の外に持ち出されて、人生全体に当てはめられるようになりました。

この物差しには「上げる」以外の方向がありません。下げたい人はいないし、維持でよいとも言いにくい。一度生産性で人生を測り始めると、上げ続けることだけが正解になります。善い考え方であっても、それしか見えなくなると視野が狭まります。

自己啓発本はどのテーマを扱っていても、最後は「生産性を上げる」に着地します。健康の本も人間関係の本も、読み進めるとパフォーマンスの話になる。ビジネス書を読んでいる限り、ビジネス最優先以外の価値観は手に入りません。

「仕事をしないと生きていけない」という信念もこの延長にあります。何かを「無駄」と呼ぶと、その活動が持つ他の働きが一括で切り捨てられます。散歩を「生産性がない」と言った瞬間に、散歩が頭を切り替えたり体を休ませたりする働きが全部消える。「時間の無駄だ」と感じること自体が苦痛を生んで、やっている最中の楽しさまで壊します。

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