AnkiとSpaced Repetitionで英語を学ぶ
英語を「読めるけど聞き取れない」状態から抜け出すために、AnkiとSRSを使った記憶の定着をどう設計するか。20年の試行錯誤から整理した実践。
Ankiの存在を知って、英語を学ぼうと決意した時に「アメフトを英語実況で楽しめるようにする」という目標を作りました。
英語の文章は、ゆっくり自分のペースで読めば、ある程度は理解できる。でも、英語を「わかる」「聞き取れる」ようになるためには、単語が耳に入った瞬間に意味が浮かんでこなければならない。
そうでなければ「実況を聞く」ことはできない。当たり前のことですが、英語が聞き取れるというのは、英語が読めるということとは、まったく別の能力が必要だったのです。
英語学習でAnkiが必要な理由
語学の習得において、SRS(Spaced Repetition System、間隔反復)は特別な位置を占めています。
記憶の定着は「復習のタイミング」によって大きく変わります。忘れそうになった瞬間に思い出す、という繰り返しが記憶を強化します。エビングハウスの忘却曲線が示すように、人間は学習した情報の多くを短時間で忘れます。Ankiはこの仕組みを自動化し、「覚えているものは後回し、怪しいものを優先」して毎日の復習セットを組み上げてくれます。
ただ、英語にSRSが特に有効な理由は、もう少し踏み込んだところにあります。
英語の単語や表現は、「知っているかどうか」よりも「瞬時に引き出せるか」がすべてです。意味は知っているのに、聞いた瞬間に出てこない。これは知識の問題ではなく、反応速度の問題です。Ankiで繰り返し訓練することで、知識は「調べて思い出すもの」から「自動的に浮かぶもの」へと変わっていきます。
基礎語彙から始める:NGSLという考え方
英語学習にAnkiを使うとき、何を覚えるかの選択は重要です。
NGSL(New General Service List)は、英語コーパスの分析から導かれた「最重要の約2800語」のリストです。この語彙を押さえることで、一般的な英語テキストの9割程度はカバーできるとされています。優先順位が明確なので、Ankiのデッキを作りやすい。覚えるものの「質」を担保してから量を追う、という順序が大切です。
1日30分のAnki学習を継続すれば、1年程度でNGSLの語彙を身につけることは現実的な目標になります。大事なのは「毎日継続すること」であり、Ankiの仕組みはそのための最小限の負荷を設計してくれています。
ObsidianとAnkiを連携する
英語学習だけでなく、日常の読書や知識整理にも連携を広げると、Ankiの活用範囲がさらに広がります。
私が使っているのは「Obsidian_to_Anki」プラグインです。Obsidianでノートを書くとき、記憶に定着させたい部分を == で囲むだけで、Ankiのクローズ問題(穴埋め)として自動変換されます。
例えば、SRSは==Spaced Repetition System==の略である と書けば、Ankiには「SRSは____の略である」という問題が追加されます。
ノートを書く行為と、記憶を定着させる行為が同時に進む。この設計が定着すると、「後でAnkiに入れよう」と思ったまま入れ忘れる問題が自然に解消されます。
何をAnkiに入れるか
Ankiへの登録基準として、私がよく使う判断軸は「10分以上かける価値があるかどうか」です。
英語の単語、発音、慣用表現など、一度調べればそれで終わりではなく、何度も使う場面があるものはAnkiに入れる価値があります。逆に、1回確認できればいいだけの情報は入れない。このフィルタがあると、デッキが膨れ上がることなく、毎日のレビューを現実的な量に保てます。
また、Ankiのデッキ管理については、細かくテーマ分けするより「1つの大きなデッキ」にまとめる運用が長続きしやすいと感じています。異なる文脈の知識がランダムに出てくることで、想起の練習として効果的になります。
音声を組み合わせる
読む・書くだけでなく、聞く・話すの強化には音声が不可欠です。
Anki自体に音声ファイルを添付する機能があります。単語カードに正しい発音の音声を入れておくことで、視覚だけでなく聴覚でも記憶を強化できます。また、Obsidianには音声読み上げ(TTS)機能を持つプラグインもあり、英文ノートを音声で確認する習慣と組み合わせると、リスニング力の底上げにつながります。
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