Antigravityの基本と実践

ObsidianとClaude Codeを組み合わせたAIエージェント「Antigravity」の仕組みと、ワークフロー・スキル・ルールによる実務活用の考え方を解説します。

Antigravityの基本と実践

Obsidianを10年以上使ってきて、ずっと「自分でやらなければいけないと思い込んでいたこと」がありました。過去の記事を整理すること、関連するノートを見つけてリンクを張ること、アクセス解析を見て改善案を考えること。どれも「やりたいこと」ではあるけれど、手が動かなかった。面倒くさかった。

そのボトルネックを根本から変えたのが、Antigravityという仕組みです。

Antigravityとは何か

Antigravityとは、AnthropicのClaude(Claude Code)をObsidianのローカル環境で直接動かすためのエージェント構成です。単なるチャットAIとは決定的に違う点が一つあります。「AIにファイルシステムへのアクセス権を与える」という点です。

一般的なAIチャットツールは、あなたがコピー&ペーストした情報しか読めません。しかしAntigravityは、ターミナルを通じてObsidianの保管庫に直接アクセスします。過去の記事を読み、ノート間のリンクを辿り、デイリーノートに追記し、frontmatterを書き換える。これをすべてAI自身が判断して実行できます。

2024年にCursorとObsidianを連携させてAI共作環境を作ったとき、「AIに自分のノートを読ませる」という体験に初めて触れました。そのときの感覚は、書き溜めてきた断片が突然つながり始めるような感覚でした。Antigravityはその延長線上にありますが、さらにAIが「行動できる」という点で次元が違います。

「やりたくないこと」をAIに任せる発想

Antigravityを実際に使ってみてわかったのは、「全自動で速くなる」ことよりも「やりたくないことをやってもらえる」ことの方が、精神的な効果がはるかに大きいということです。

たとえば記事の仕上げ。てにをはの確認、アイキャッチ画像の生成、SubstackへのURLリンク付き関連記事の追加。これらは「やれること」なのに「やりたくないこと」でした。画像作りへの苦手意識は、一時期ブログを書かなくなる原因にすらなっていました。

スキル(/publish)として定義しておくと、AntigravityがこれらをフェーズごとにApprove(承認)を挟みながら進めてくれます。人間は「書くこと」だけに集中できる。これはスピードアップではなく、楽しくないことを減らす作戦です。

同じ発想で、過去記事500本のアトミックノート化も実現しました。記事1本ずつをAIに読み込ませ、アトミックノートとして再構成させる作業を一通りやりきると、約1800個のノートが生まれました。人力では「やろうと思えばできる」けれど「やりたくない」典型的な作業です。Antigravityがあったから、それが現実になりました。

Rules・Skills・Workflowsの3層構造

Antigravityの安定性を支えているのが、.claude/ディレクトリ以下の3層構造です。

Rulesは常時適用されるルールファイルです。「Obsidian CLIを優先して使う」「日本語ファイルパスのエスケープに注意する」「ゴーストリンクを作らない」といった指針を書いておくことで、AIが一貫した行動を取れるようになります。

Skillsは再利用可能な機能単位です。/publish(KS記事の仕上げ)や/create-permanent(Permanentノートの作成)のように、手順が決まった作業をMarkdownで定義しておきます。AIに「これをやれ」と言うだけで、詳細な手順を毎回指示する必要がなくなります。

Workflowsは実務フローです。週次レビューや月次振り返りのような、複数のSkillを組み合わせた定型業務をここで定義します。/weeklyと打つと、デイリーノートを読んで今週の活動レポートを作り、未完了タスクをまとめて持ってくる。人間はApproveボタンを押すだけです。

Obsidian CLIとの連携が「探索」を変える

AntigravityとObsidian CLIを組み合わせると、AIが保管庫の「構造」を理解して動けるようになります。

たとえばバックリンクの検索。Obsidian CLIbacklinksコマンドを使うと、あるノートを参照しているノートを一発で見つけられます。これをAntigravityに実行させると、「バックリンクが少ない孤立ノートを見つけて修正提案する」「このページの関連記事候補を抽出してリンクを追加する」といった作業が可能になります。

通常のファイルシステム操作でも同じことはできますが、何倍もの手数がかかります。Obsidian CLIが「Obsidianの操作語」をAIに提供することで、処理が大幅にシンプルになるわけです。

AIを「育てる」のに必要なのは自分のノート

Antigravityを使い込むにつれて、一つ確信に変わったことがあります。「AIに自分のことをいかに知ってもらうか」が、このツールの実力を決定する、ということです。

汎用的な指示しか与えていないAIは汎用的な提案しか返してきません。しかし、自分の判断基準・哲学・過去の体験を記録したノート群をAntigravityに読ませると、話が変わります。「ごりゅごはこういう文体で書く」「このトピックについてはこういう立場を取っている」という文脈を持ったAIは、まったく異なる精度で動いてくれます。

デイリーノートになんでも書いておく価値が、AI時代になって一段階高まっているのはこういう理由です。AIが整理してくれるから、とりあえず記録する。あなたの記録はあなたにしか生み出せない。その蓄積こそが、Antigravityを育てる唯一の素材です。

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