1年のテーマを作る

1年の目標ではなく「テーマ」を置くことで、達成か失敗かの二元論を離れて行動の軸を作るための考え方と実践方法。

1年のテーマを作る

新しい年が始まると、多くの人が「今年の目標」を立てます。ですが私は、具体的な目標ではなく、その年を貫く「テーマ」を設定するという方法を長年実践しています。目標が達成・未達成という二元論的な評価を伴うのに対し、テーマは達成するものではなく、一年を通して自身の行動や思考の「指針」とするものです。

かつての私も、年始に具体的な目標を設定し、それを達成しようと努力していました。しかし、たとえば「年間100冊の本を読む」といった数値目標は、達成できなければ「失敗」という結果が残り、年末に自己嫌悪に陥るというサイクルを繰り返していました。GTD(Getting Things Done)のようなタスク管理手法を突き詰めても、どこか息苦しさを感じていたのは、この「達成か、失敗か」というプレッシャーが常にあったからかもしれません。

この負のサイクルから抜け出したいと考えた末にたどり着いたのが、「目標」の代わりに「テーマ」を設定するという考え方でした。テーマは「常に心の中に抱き続けるもの」であり、そこに失敗という概念は存在しません。例えば、私の過去のテーマには「健全かつ健康な生活」や「ゆっくり、丁寧に、少しずつ効率を上げる」といったものがあります。これらのテーマを意識して一年を過ごすことで、たとえ個々の行動が完璧でなかったとしても、全体としてその方向に進もうとした自分を肯定できます。この考え方の転換は、私に大きな精神的な安定をもたらしました。

現在、私のテーマ運用はObsidianを中心とした仕組みになっています。まず、年末年始に時間をかけて、次の年のテーマ候補をいくつか考えます。そして、そのテーマを書いたノートに #review/topic のような特別なタグを付けておきます。

重要なのは、このテーマを忘れないための「仕組み」です。私はObsidianの「Spaced Repetition」プラグインを使い、このタグが付いたノートを定期的に、例えば週に一度は必ず見返すように設定しています。これにより、設定したテーマが単なる飾りになることを防ぎ、日々の意識に刷り込むことができます。

この仕組みの最大の価値は、テーマが日々の「意思決定の軸」として機能することです。何か新しいことを始めるか、あるいはやめるか迷ったとき、「この行動は今年のテーマに沿っているか?」と自問するのです。この問いによって、自分の判断に一貫性が生まれ、選ばなかった選択肢に対する後悔が格段に減りました。短期的な目標達成のプレッシャーから解放され、長期的で持続可能な自己成長を促す。これが、私が「1年のテーマを作る」ことによって得られている最も大きな価値だと考えています。

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