使わなくなった音楽ソフトを「もったいない」で評価しない
音楽ソフトを買ったあと、しばらく使ってから触らなくなることがあります。
そうなると「せっかく買ったのに、もったいなかった」と考えがちです。ただ、現在の使用頻度だけで、そのソフトの価値を決める必要はありません。
自分の場合、Softube Model 72は購入直後以外あまり使い続けていません。それでも、シンセの仕組みを知るきっかけになりました。IK Multimedia MixBoxも、現在はSoftubeの方が便利で使いやすいと感じますが、エフェクトチェーンを学ぶ材料にはなりました。
一方、Native InstrumentsのElectric Mintは、64パッドでリアルタイムにギターらしく弾く自分のやり方には合いませんでした。これも、買ったものを使わなくなったというだけでなく、自分が何を難しいと感じるのかを知る経験になっています。
Model 72でシンセの仕組みを知った
Softube Model 72は、購入直後にオシレーター、ミキサー、フィルターなどのつまみを触っていました。
つまみを動かすと音が変わる。その変化を実際に聞きながら、どの部分が音色に関係しているのかを具体的に理解できました。完成した音色を作ることよりも、操作と音の変化が結びついたことが大きかったと思います。
ただ、プリセットにはいい音が多いと感じたものの、自分で音色を作るためにModel 72を使い続けることはありませんでした。
ここで「使わなくなったから買い物に失敗した」と考えると、シンセの仕組みを知った経験まで消えてしまいます。使用頻度は下がっても、そのソフトを触ったことで理解できたことは残っています。
MixBoxでエフェクトチェーンを学んだ
IK Multimedia MixBoxでは、複数のエフェクトを組み合わせてチェーンを作ることを学びました。個別のエフェクトを一つずつ調整するだけでなく、どんな順番でつなぎ、全体としてどう音を整えるかを見る材料になりました。
MixBoxには実在したアナログ機材をモデルにしたエフェクトもあり、機材の名前や構成から音作りを考えやすいところがあります。
現在の日常的な音作りでは、同じようなことをするならSoftubeの方が便利で使いやすいと感じています。MixBoxが使えないという評価ではありません。すでにSoftubeを持っている今、積極的にMixBoxを選ぶ理由が弱くなった、ということです。
使う道具が変わったからといって、MixBoxで学んだエフェクトチェーンの理解まで無駄になったわけではありません。
Electric Mintで自分に合う演奏方法が分かった
Native InstrumentsのElectric Mintは、リアルなギター演奏を再現する音源です。打ち込みで細かく作り込めば、ギターらしい演奏にできると思います。
自分がやりたかったのは、64パッドからリアルタイムに演奏することでした。しかし、その方法でギターらしさを出すのは難しかった。特に歪んだギターのソロでは、64パッドでギターらしく聞かせにくい問題も重なります。
Electric Mintを使わなくなったのは、音源が単純に悪かったからではありません。自分がやりたい演奏と、音源で求められる操作の相性がよくなかったからです。
さらにKontaktのバージョンやUIも、使い続ける負担になりました。音源を選ぶときは音だけでなく、どのように演奏するのか、どの環境で使い続けるのかまで考える必要があります。
使わなくなったあとに残るものを見る
音楽ソフトの価値を、買ったあと何年使い続けたかだけで決めると、Model 72もMixBoxもElectric Mintも「使わなくなったソフト」になります。
でも、3つはそれぞれ別のものを残しました。
- Model 72では、シンセの仕組みを音の変化と結びつけて理解できた
- MixBoxでは、エフェクトチェーンの組み方を学べた
- Electric Mintでは、64パッドでリアルタイムに弾きたい自分には難しい表現が分かった
このように、何を理解できたか、何ができるようになったか、自分の好みや判断基準がどう変わったかを具体的に言えるなら、使用頻度が下がっただけで「もったいなかった」と決めなくていいと思います。
もちろん、これは買い物を何でも後付けで正当化する考え方ではありません。何も残っていないのに、使っていない事実から目をそらすための言葉にすると、別の問題になります。
大事なのは、今使っているかどうかと、そのソフトを使ったことで何が残ったかを分けて考えることです。