3和音の意味を64パッドの「形」にする
前回は、そもそもコードとは何なのか、なぜ複数の音を一つのまとまりとして考えるのか、という話をしました。
Cというコードなら、ド・ミ・ソ。音名で書けばC・E・G。この三つを一つのまとまりとして扱えば、伴奏を短いコードネームで表せます。
ただ、Cがド・ミ・ソだと分かっても、パッドのどこを押すかは、まだ別の話です。
パッドでは、この音同士の関係が、そのまま押さえる「形」になります。理屈と押す場所を結びつけられるところが、パッドでコードを覚える面白さです。
今回は3和音だけを64パッドの形にする
前回は3和音と4和音の話をしましたが、まずは3和音だけに絞ります。
そして、覚える3和音はメジャーとマイナーの2種類。正確にはほかの種類もありますが、それは後回しにします。この2種類だけでも、弾ける曲はあります。
CメジャーならC・E・G、CマイナーならC・E♭・G。コードネームはそれぞれ「C」「Cm」です。
基準になるCがルート。EまたはE♭が3度、Gが5度です。ルートと5度は同じで、3度が半音変わるとメジャーとマイナーが切り替わります。
音を三つとも別々に覚えるより、「同じところ」と「違うところ」を分けると、パッドの上でも見つけやすくなります。
3和音は、パッドの上では位置関係そのものが形になる
ここで使うのは、右へ一つで半音上がり、上へ一段で完全4度、半音五つ分上がる「4度クロマチック配列」です。
ルートと5度は共通で、3度の位置だけが違う
Cをルートにして、C・E・Gを探してみます。
EはCから右へ四つ。GはCから右へ二つ、上へ一段です。この三か所を一緒に押せば、Cメジャーになります。
図の一つの角括弧がパッド一個で、点は押さない場所です。図の上がパッドの上側に対応します。
Cマイナーにしたければ、CとGはそのまま。Eを押していた指だけ、左へ一つ動かします。これでEがE♭になり、C・E♭・Gになります。
動かしたのは一か所だけなのに、響きの雰囲気は変わります。
CからEまでが長3度、CからE♭までが短3度。名前で覚えていた違いが、ここでは「指を一つ左へ動かす」という違いとして見えます。
ルートから3度までの距離、ルートから5度までの距離。それがそのままコードの形になっているわけです。
ルートが変わっても、同じ種類なら形は同じ
このCメジャーの形を、三つの指の位置関係を変えずに、全部右へ二つ動かします。するとルートはCからDへ変わり、コードもDメジャーになります。
C用の形とD用の形を、別々に覚える必要はありません。メジャーの形を覚えたら、そのルートをDの場所へ持っていけばいい。マイナーも同じです。
パッドの配列は、場所が変わっても音の間隔が一定です。だから、音名が変わっても同じ形を使えます。
ただし盤面の端では、一つの形をそのまま置けない
どこでも同じ形が使えるなら、メジャーとマイナーを一つずつ覚えれば済みそうです。
ただ、64パッドは横に8個しかありません。さっきのメジャーの形には、ルートの右側に四つ分の場所が必要です。ルートが右端に近づくと、3度を押したいところにパッドがありません。
音の並び方は変わらなくても、楽器には端があります。
同じ音を、別のパッドで押せる
ここで使えるのが、同じ高さの音が複数の場所にある、というパッドの性質です。
Cから右へ四つ進んだEは、Cから左へ一つ、上へ一段の場所にもあります。Cの真上はFで、その左隣がEです。
これは、オクターブ上のEではありません。右へ四つのEと、まったく同じ高さのEです。
Gも、Cから右へ二つ・上へ一段だけでなく、左へ三つ・上へ二段の場所で鳴らせます。
押す場所を変えても、鳴らしている三つの音は同じ
横にはみ出すEを左上のEへ移せば、同じC・E・Gを、別の形で押さえられます。さらにGの場所も変えれば、右側へ広がらない形にもできます。
見た目の形は違っていても、鳴っているのは同じ高さのC・E・G。低い方からC、E、Gという関係も変わりません。
これは「転回形」ではなく、同じ音を別のパッドで出しているだけです。
メジャー3フォームとマイナー3フォームを基礎セットにする
同じ音を押せる場所を組み合わせると、フォームにはいくつも候補ができます。その中から、まず現実的な押さえ方として、メジャーとマイナーをそれぞれ3パターンずつ覚えます。
以下の図では、ルートを「R」、長3度を「3」、短3度を「b3」、完全5度を「5」と書きます。b3のbは、♭の代わりです。それぞれの図は、ルートの周囲を切り出しています。
メジャーの3フォーム
フォーム1は、最初にC・E・Gで見た形です。3度がルートと同じ横一列にあります。
フォーム2は、その3度を左上の同じ音へ移した形。フォーム3は、さらに5度も別の場所へ移し、ルートから二段上に置いた形です。
どれも、同じ高さのCをルートに取れば、鳴らす音は同じC・E・Gです。右側に場所があるかどうかで、使える形が変わります。
マイナーの3フォーム
メジャーと同じ番号のフォームを、ルートの位置をそろえて比べると、3度だけが左へ一つ動いています。ルートと5度の位置関係は変わっていません。
最初に見た「EをE♭にする」が、三つのフォームすべてで同じように使えます。
コードは2種類、押さえ方は合計6フォーム
ここで増えたのは、コードの種類ではありません。メジャーという一つの種類に三つの押さえ方があり、マイナーにも三つある。合わせて六つです。
この6フォームを、まず覚える形にします。すべての押さえ方を網羅するのではなく、メジャーとマイナーをパッドで使うための基礎セットです。
理屈が分かったら、6フォームは丸ごと覚えてしまっていい
ここまで理屈を説明してきましたが、弾くたびに「ルートから右へ四つで長3度、右へ二つ上へ一つで5度……」と考え続ける必要はありません。
なぜその形になるのかが分かったら、あとは形ごと丸覚えでいいと思っています。
前回、ただ丸暗記するだけでは応用ができない、という話をしました。でも、それは暗記をしない方がいい、という意味ではありません。
メジャーの3度を半音下げればマイナーになる。ルートを動かしても形は同じ。同じ音を別のパッドで鳴らせば、形を変えても同じコードになる。
この関係が分かったうえで覚えた形は、意味の分からない記号の丸暗記とは違います。必要なときには理屈に戻れるし、弾くときには覚えた形をそのまま使えます。
理解することと、覚えること。両方あった方がいい。
次は曲の中で3和音を覚える
ただ、フォームの図だけを眺めて、ひたすら暗記するのはつまらないです。
同じ形を繰り返すにしても、それが知っている曲の伴奏になっていれば、ただの暗記とは違います。曲を弾くために同じコードを何度も押しているうちに、その形を覚えていく。
次は「チェリー」のコードを使って、曲の中で3和音の形を覚えていきます。