知っている形で複雑な和音を鳴らす:コードとフレーズの置き換え方
オルタード、裏コード、トライアドペア、ハーフディミニッシュを別々に暗記せず、すでに弾ける形の位置やコード上での役割を変えて使う方法。
オルタード、裏コード、トライアドペア、ハーフディミニッシュ。名前を覚えるたびに弾ける和音が増えそうですが、演奏中は知識を探しているあいだにコードが進んでしまいます。構成音を一つずつ考える方法も、テンポの中では間に合いません。
複雑な響きを出すときは、すでに弾けるマイナーフレーズやトライアドを別のコードの上へ移します。変えるのは指の形ではなく、その形を置く場所とコード上での役割です。
ただし、どの形をどこへ移しても成立するわけではありません。置き換えたあとに鳴る音を確かめ、出したい響きと合う形だけが候補です。
ドミナントの全音下でマイナーフレーズを弾く
G7からCへ解決する場面で、G7のスケールを一音ずつ考えていては、フレーズを選ぶまでに時間がかかります。代わりにG7の全音下にあるFを基準にして、Fマイナーのフレーズを選びます。
Fマイナーペンタトニックなら、F、A♭、B♭、C、E♭。Gを基準にした読み替えでは、♭7、♭9、♯9、11、♭13に当たります。G7の構成音を順に追わなくても、解決前にオルタード系の緊張感を加えられる音の並びです。
FマイナーペンタトニックにはGから見た11が含まれるため、Gオルタードそのものとは異なります。G7の上で強い緊張を作る選択肢の一つです。
覚えたFm7のアルペジオや短いフレーズをそのまま使えるため、演奏中に新しい運指を考えずに済みます。必要なのは、Ⅴ7からⅠへ解決する位置で全音下のマイナーを選ぶ判断です。
試すときは、すでに弾ける短いFm7のアルペジオを一つ選びます。その運指を変えず、G7のところで弾いてからCへ解決する。確認するのは、Fマイナーの各音がG7に対してどのテンションになるかと、Cへ進んだときに解決して聞こえるかです。新しく覚えるのはフレーズではなく、G7でFマイナーを選ぶ対応関係だけです。
リディアン♭7のフレーズを裏コードで使う
同じ音の集まりを、置かれたコードに合わせて別の名前で読む場合もあります。Gリディアン♭7とD♭オルタードは構成音が同じです。Gリディアン♭7で覚えたフレーズは、指使いを変えずにD♭7のオルタードとして響きます。
D♭7はG7の裏コードです。どちらもCへ解決するドミナントとして置けるため、Gリディアン♭7の運指のままD♭7で弾けば、解決直前の緊張を作れます。
フレーズをキーごとの名前だけで記憶していると、複数のコード上で使えることに気づけません。構成音が一致する位置を見つければ、一つの形を複数の場面で選べます。
テンションコードを二つのトライアドに分ける
音数の多いコードを一つの大きな形として覚える方法では、種類が増え続ける一方です。C13として使えるボイシングは、GマイナーとAマイナーという二つのトライアドに分けて見ることができます。
GマイナーはG、B♭、D。AマイナーはA、C、E。この二組を合わせると、C、E、G、B♭、D、Aがそろい、C13で使うルート、3度、5度、♭7、9、13が鳴ります。
トライアドなら、コードとして押さえる形もアルペジオとして弾く形も、すでに押さえたり弾いたりできます。C13という六つの音を一度に覚え直さず、GマイナーとAマイナーを行き来するだけです。コードでは二つの形を重ね、ソロでは二つのアルペジオを交互に弾く。
二つのトライアドは、同時に押さえる場合も、順に鳴らす場合も使う音が同じです。Gマイナーを弾いたあとにAマイナーへ移れば、六つの音をスケール順に追わず、知っている三和音の切り替えとして扱えます。
🎹パッドでジャズのボイシングを覚えるでルートレスボイシングを上部トライアドとして覚える方法も、同じ分け方です。複雑なコードネームを見たときは、知っている三和音が中にないかを先に探します。
マイナー6とハーフディミニッシュを同じ形で弾く
Cマイナー6とAハーフディミニッシュは、同じ四つの音でできています。Cマイナー6はC、E♭、G、A。Aをルートとして並べ直すと、A、C、E♭、Gになり、Aハーフディミニッシュです。
Cマイナー6の押さえ方のまま、Aをルートにして弾きます。変わるのは、ルートとして聴く音だけです。
この関係を知っていれば、マイナー251のⅠでマイナー6を選ぶ場面と、Ⅱのハーフディミニッシュを弾く場面を別々の形として記憶せずに済みます。譜面のコード名だけを見るより、構成音を並べて共通音を確かめる方が、置き換え先を見つけやすい。
複雑なコード名を見て手が止まったときは、ルートから構成音を考え直す前に、すでに弾けるマイナー、トライアド、転回形を探します。その形を別の位置へ移し、鳴る音をコードに対して読み直せば、理論名を思い出してから指を決める順番を省けます。
G7なら全音下のFマイナー、D♭7ならGリディアン♭7、C13ならGマイナーとAマイナー。コードが進む前に、知っている形を一つ選んで鳴らせます。
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