ObsidianのMOC:索引型とテーゼ型の使い分けと、記事の下書きにする作り方

Obsidianでノートが増えても、どこに書いたか分からなくならないMOC(Map of Content)の作り方。話題を網羅する索引型と、主張を軸に命題を集めるテーゼ型の見分け方と、テーゼ型をそのまま記事の下書きにする使い方まで。

ObsidianのMOC(Map of Content)

Obsidianを使い始めてノートが増えるほど、どこに何を書いたか分からなくなる。フォルダで整理しようとしても、一つのノートは一箇所にしか入れられない。タグを付けても、どんな基準で付けたのかを後から思い出せない。整理したはずなのに使えない、という手詰まり。

この行き詰まりを抜ける道具がMOC(Map of Content、コンテンツの地図)です。フォルダの代わりに、関連するノートへのリンクを一枚に集める。その一枚から、増えたどのノートにもリンクを辿って行ける。同じノートを複数の地図から参照できるので、フォルダのような一対一の窮屈さもない。この発想の元になった名前付きフレームワークがLYT(Linking Your Thinking)です。

ところが、話はここで止まりがちです。

MOCの説明はたいてい「リンクを集めた地図」で終わってしまう。いざ手を動かして作ろうとすると、何を入れて何を外すのか、どこまで並べたら完成なのかが見えてきません。迷う理由は、MOCに使い方の違う二つの型があるのに、区別されずに語られていることです。

索引型とテーゼ型、MOCには二つの型がある

一つは索引型。話題を軸にして、その話題に関わるノートを漏れなく並べる型です。配下のノートを並べ切ったところが完成です。

索引型MOCは、網羅すれば完成する。もう作り直さなくていい。

テーゼ型は、その正反対です。主張を見出しに立てて、それに合う命題だけを集めます。「この主張を裏づけるか、示すか」が、入れるか外すかの基準。何でも入る索引型と違って、主張が真ん中にあるぶん、何を並べるかがはっきりする。だから作り始める前に、目の前のテーマをどちらの型で作るのか決めておく。型が先に決まると、何を入れて何を外すかの物差しがはっきりする。

テーゼ型は主張が基準になるから、余計な命題を入れずに済む

テーゼ型MOCの強みは、集める基準がはっきりしていること。「この主張を裏づけるか」で一本ずつ測るので、関係の薄いノートはこの基準で外せます。話題でまとめた地図は基準がゆるく、主題と関わりのない命題まで入って量が増えがち。主張が基準なので、関係のない命題は入りません。

ただし、強みには裏があります。

主張に合うものばかり手元に残すと、主張に反する命題を、関係ないものとして外してしまう。何を入れるかをはっきりさせるほど、反対の見方が見えなくなっていく。主張に合うものだけ残す基準が、そのまま反対意見を外す基準にもなっています。だから反対の立場や例外は、入れ忘れて放置せず、別のノートとして意図して残す。基準をきつくしすぎた地図だけを見ていると、考えが片側に寄る。

MOCを作ると、足りないところが分かる

MOCのいちばんの値打ちは、ノートを並べて構造を描こうとしたときに「ここが足りない」と気づけること。既存のノートだけで綺麗に埋まってしまう地図は、むしろ新しい発見がない印です。穴が見えた時点で、もう欠けている箇所が分かっています。

だから、完成度で測らないほうがいい。

MOCの出来は、いくつ欠損を見つけたかで測る。空いたところに「ここが未整理」と書き込めば、その穴を見て次に書くノートのテーマが決まります。整理は、書き終わった後の記録だと思われがちですが、順序はむしろ逆。地図を描いていくうちに、まだ手をつけていない箇所がはっきりしてきます。

テーゼ型MOCは、アトミックノートと同じ手順で作る

MOCと聞くと特別な作業に見えて、手が止まる人がいます。実際にやることは、アトミックノート(主張を一つだけ書いた小さなノート)を一本書くのと同じ手順。命題を集め、読み返し、まとまりから一段上の主張を切り出して見出しに置く。デイリーノートに書き散らした断片を読み返して命題にする作業と、動きは変わりません。

違うのは、扱う単位の大きさだけ。ノート一枚か、命題のまとまりか、が入れ替わっているにすぎません。

作ったMOCを完成品として扱うと、そこで手が止まります。見出しに立てた主張は、命題を集めるたびに別の角度が見え、言葉が入れ替わり、下に並ぶ命題も入れ替わる。テーゼ型MOCは、見出しの主張を書き換えるたびに作り直すものです。終わらないのは弱さに見えて、まだ考えが変わり続けている印。反対の見方や例外を別ノートで並べておくのも、この作り直しの一部です。

テーゼ型MOCは、そのまま記事の下書きになる

テーゼ型MOCのいちばんおもしろいところは、それがそのまま記事の下書きになること。主張が見出しになり、その下に論拠の命題が並んでいる。見出しを読む順に並べ直す。それだけで文章の構成ができています。話題でまとめた索引型MOCをいくら眺めても文章にはならない。テーゼ型だけが、主張を並べるとそのまま文章の順番になります。

整理と執筆を、別々の作業に分ける必要がなくなる。

命題形のタイトルを並べると、なぜ構成まで見えるのか。「〜について」ではなく「〜は〜する」と言い切った題名を順に置いたとき、主張の並びに飛びがあるかどうかが一目で分かるからです。飛びが見えれば、間に足す命題を探すか、新しく書くかを決められる。日頃アトミックノートを書き溜めてあれば、執筆は白紙から書く作業ではなく、手元の主張を並べ替えて文章にする作業に変わります。あとは接続詞を補って、文と文のつながりを作るだけ。

索引型は網羅すれば完成します。テーゼ型は主張を書き換えるたびに作り直します。作り始める前にこの二つを見分けておけば、ノートが増えても迷わずに、集めた主張をそのまま次の記事の下書きにできます。

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