本を読んで気になったことをメモする。そのメモを自分の言葉で書き直し、論点ごとの小さなノートに分けていく。こうして、読んだ本について話したり、別のテーマで文章を書いたりするときにも使える形にするのが、アトミック読書術です。
最初から一冊分のメモをきれいに整理する必要はありません。まずは、気になった一つを書き残すところから始められます。
まずは気になった一つを、読む・メモする・書き直す
2020年に読書メモの残し方をまとめた頃、引用を丸ごと記録するやり方から、自分の言葉で見出しや要約を書くやり方へ変えました。Kindleで気になった箇所のスクリーンショットを残し、あとで前後の文章も見ながら書き直す方法です。
読書中に残すものは、あとで考え直すための手がかりです。気になった箇所と、そのときに考えたことを残し、文章を整えるのは後の作業に回します。書き直すときに、元の文章を見ずにどこまで説明できるか試してみます。説明できなかったところは、本に戻って確かめます。
引用も必要なら残します。その場合は、どこまでが本に書いてあったことで、どこからが自分の考えなのかを判別できるようにしておきます。同じノートの中で、自分の考えに「→」や「考察:」といった印を付けるだけでも区別できます。
読むときにメモを残し、後日それを書き直す。この二つを分けると、読書中に文章を仕上げなくて済みます。どれも同じように整理するより、考え直したい一つに時間を使うやり方です。
本を返したあと、自分のメモだけで書き直した
2021年、読みながら文章でメモを取るようになった大きなきっかけは、図書館で借りた『Learn Better』でした。
妻が借りてきた紙の本を、自分も気になって読んでみたのですが、いつもの電子書籍のようにハイライトを付けられません。本に書き込むこともできないので、覚えておきたいところを、その場で文章にしてメモしていました。
さらに、この本についてまとめたのは返却したあとです。手元にあるのは、自分が書いたメモだけ。雑に書いたところは、正確にはどういう話だったのかがわからず、苦労しながらまとめた記憶があります。
それでも、この本について話したブックカタリストでは、それまでで一番面白い話ができたと感じました。2021年の記事は、その体験を振り返って書いたものです。
読みながらメモをするには、その都度、書かれていることを自分なりにまとめる必要があります。返却後にメモから文章を作るときにも、何を理解していて、どこが曖昧なのかを考え直しました。本を読むときに自分で文章を書くことを、より重視するようになった経験です。
書き直したメモを、論点ごとの小さなノートに分ける
2022年のObsidianでの読書メモでは、難しい内容を手書きで図解し、その画像をObsidianに移してから、もう一度文章に書き直していました。そこから、書いた内容にタイトルを付けて、小さなノートへ分けていきます。
この画面では、「正常と異常の二項対立は近代から強化されている」など、個別のタイトルを持つノートへのリンクが並んでいます。本の章をたどりながら、それぞれの論点を開ける形です。
切り出すときの目安は、そのノートだけを読んでも意味がわかること。「この本の第3章について」とだけ書いてあると、何の話かを知るために本のメモへ戻らなければなりません。何について、どんなことが言えるのかをタイトルにし、説明に必要な内容を一枚にまとめます。
あとで使いたいと思った論点を選んで切り出し、元の読書メモには、そのノートへのリンクを残します。すると、本から思い出したいときは読書メモを開き、別のテーマを考えるときには個別のノートを参照できます。
2020年にObsidianでメモを書くのが面白くなった理由の一つも、別の本とのつながりでした。リンクを作ろうとキーワードを入力すると、以前使った言葉が候補に出てくる。それをきっかけに忘れかけていたことを思い出し、いま読んでいる本との関係に気づくことがありました。
個別のノートを別のテーマのリストにも並べれば、本のタイトルを思い出さなくても、その話題から見つけられます。一冊分をまとめた読書メモを残しながら、考えを取り出す入口を増やすわけです。
こうした整理には時間がかかります。2022年のやり方では、少しずつ書き直して、一冊分のメモができたと言えるまでに、だいたい一ヶ月かけていました。多く残しすぎて整理しきれないことも、少なすぎて意味がわからなくなることもあります。
もう少し詳しく知りたいときに
実際の画面を見ながら手順を追いたい場合は、Obsidianでの読書メモの作り方に、2022年当時のメモや見返し方をまとめています。
作業ごとの詳しい説明はこちらです。
- 引用から自分の言葉に書き直す:読書中のメモと後日の書き直しを分け、引用と自分の考えを見分けられるようにする。
- 論点ごとに切り出してつなぐ:一枚で意味がわかるノートを作り、別の話題からも参照できるようにする。
- メモを残しすぎずに続ける:残す範囲を絞り、習慣を少しずつ増やす。
- 読んだ本について語ることを目標にする:人に説明してみることで、自分の理解を確かめる。
- 時間を空けて書き直す・二度読む:一度で終わらせず、本やメモに戻る機会を作る。
- Obsidianの道具を揃える:入力や本の情報を記録する手間を減らす。